王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

ウインター王国

初めての茶会

「緊張する…………。」

心臓が口から飛び出しそう。



あられ様に助言を受けて、まずは王都のタウンハウスにいる貴族の夫人と令嬢を招待することになった。

「王妃様、僕変なところありませんかね……。」

「かわいいわよ。淡いピンクは相手に緊張させない優しい色。贅沢すぎない素材で品も悪くないから、第一印象は悪くならないはずよ。」

春色のピンクのローブにエメラルドのペンダントがお守り。

うん、僕頑張るよ。




会場に入り、皆を見渡す。

ジストニア公爵夫人と令嬢は、お姉様の旦那様のお母様と妹さん。

とっかかりとしてはよさそう。

フォックス辺境伯夫人、ビター公爵夫人と令嬢、カルカン侯爵夫人、ミズル伯爵令嬢…………。


ふう。

息を吸って、吐いた。



「皆様、本日は私の主催するお茶会にお集まりいただきましありがとうございます。私はスプリング王国筆頭公爵家のコンフォート公爵家出身で、以前こちらに留学していたルビーの弟のアレックスです。ご存知のとおり、王妹であるレイチェル王女の忘れ形見である我が夫レナードがこの国の王太子にと指名され、私も王太子妃になります。これからウィンター王国をよりよくしていけるよう、みなさまのお力もお借りしたいと考えております。仲良くしてくださいね。」

精霊たちは僕の周りを飛んで、応援してくれているみたい。
頑張るぞ！



「ジストニア公爵夫人、ご無沙汰しております。」
まずはジストニア夫人にご挨拶。

「まあ、きれいになりましたね。そのペンダントはレイチェル様の形見の品ですね。」

「はい。私と夫で身につけております。今日はお守りのような気持ちです。お土産にビスケットを用意しております。缶入りで日持ちしますので、お持ち帰りください。」


夫人たちから色々聞いた。

僕にできることは少ないけど、レナードと頑張ろう。

僕たちはこの国のために働く。
ちゃんと皆の話を聞く。

仲良くしたい。



それが伝わっていたら、少しは助けになれたかな？