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陛下の葬儀

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「……私たちもついているといいたいが、今回はあちらの監視をせねばならない。すまないが、よく気をつけておくれ。」

お義父様とお父様に頭を下げられた。

<大丈夫!私たちもついてるんだから!>
<ねっ!>


体を締め付けないゆったりした黒いローブを僕は衣装に選んだ。


「もし何かあったら私たちも目に物いわせてやりますわよ。」

「うふふ。楽しみねぇ。戦場の赤薔薇白薔薇と言われたころを思い出すわね。」

「んもぅ、メリーったら血濡れで最後の一人まで敵を追い詰めて。『メリーさんの怪奇伝説』までできちゃったのよねっ。」


うわぁたのもしい。

メリー、リリーよろしくねっ。



「俺だって毎日鍛錬を続けたんだ。絶対にアレックスは守る。」

「頼もしいけど、みんな怪我しちゃやだよ。」




レナードも真っ黒の正装。

僕らは既にウインター王国の人間だ。
スプリング王家との縁は切れている。

卒業後はあちらに行き、あちらの国のために生き、たまに帰ってくることはあっても国賓扱いでここで生活することはない…。



レナードはお母様…レイチェル妃の遺品を持っていない。

お父様立ち合いの下、ついでになにか遺品を一つ貰えたらと思っている。
なかなか墓参りにも来られないだろうから。





王家のスキャンダルについては何も詳しいことは公表しない。
アイリは既に陛下殺害犯として内部では扱われているが、陛下になるグレイシャス王子の母であるため、今日の葬儀にだけは王妃として参加する。

化粧っ気のない顔に黒のドレス。

王妃としての権限もなくし、適当に見繕っているからだが、見ようによっては打ちひしがれているように見えなくもない。

順番が来て、僕たちはゆっくり前に歩み、棺の陛下にお別れをした。



眠っている顔。

間近でよく見たことはなかったけど、少しだけ、レナードに似てるところもある。






「うぅ、わぁぁあ!アレックス、よく来てくださったわ…!!!」


突然、アイリがこちらに走って来た。

目が血走ってて怖い。


多くの国民の前であり、王妃として扱わざるを得ず、拘束が緩んでいたのだろう。

慌てて騎士が駆け寄ろうとする。




だが、僕の前にはメリーとリリーがいる。
そして精霊たちも。

何より隣にはレナードが。




僕は何も怖くない。
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