王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

アイリ妃は墜ちる

なんで。

邪魔な実家は始末した。

妹も売って他の国にやったはずなのに。


レイナは髪に触れると、黒髪のウイッグを外す。



「予定とは違うけれど、語るに落ちましたね。お姉様。私は、貴方を許しません。」

「アイリ妃。水差しなど陛下に渡すものは全て毒味し、準備から渡す時まで、必ず私たちは集団で行動しました。そして、陛下の部屋には鍵をかけていた。口にするものは必ず放置せず、都度回収しています。陛下が毒殺されたとするならば、実行出来たのは一人だけ。陛下の部屋とコネクティングルームになっている部屋にいる貴方だけですよ。アイリ妃。」

クリフォート伯爵が執事長として堂々と言いのけた。




くっ。

なんてことなの。

しかも、レイナは大人になり、美しく育っている。
みそっかすと馬鹿にしていた妹が。


「おかあ さま」


グレイシャスの声も震える。



「何故、城の庭にマジックベリーやハートショックが植えられているのかしら。両方ともきれいな花で薬草に詳しくなければ、一見無害な花に似ているけど。もしかしたら陛下の病もお姉様では？」

「証拠などないわ。」

「レナード王子にマジックベリーのジュースを飲ませようとして失敗していますよね。ご存じかしら。貴方の大切なグレイシャスさまは、マジックベリーが好物で、子どもの頃から貴方の目を盗んで召し上がっていたようですよ。」

「なんですって！」


アイリの顔色が変わる。



「かわいそうに。殿下は種がありませんわ。」