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陛下の夢
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ウィンター王国から僕に嫁ぐ、レイチェル王女はオメガで美人で努力家で頭のいい女の子だ。
学園に入ったばかりで彼女には親しい人もいない。
友達と言えば、侍女くらい。
僕が守ってあげなくちゃ。
「何か欲しいものはある?僕が用意できるものなら。」
「秘密のガゼボが欲しいです。お恥ずかしいのですが、私は……王子にふさわしい立派なお妃になるために、ものすごく、その、実は無理をしています。」
「そうなの?いつだって君は完璧に見えるけど。」
「それはそう、見せているだけですわ。だから、息抜きがしたいなって…。」
「ガゼボが気に入ったんだね。」
「はい!花がいっぱいのこの国に嫁げて、私は幸せです!」
君は本当にあのガゼボが好きだった。
一緒にブランコに乗って、楽しかった。
そう、君は真面目で、完ぺきな妃であろうと無理をする人だった。
私に口うるさく言うのは、私のため国のためだったのに。
魂を絡めとるように甘やかす女に、徐々に毒されて。
ガゼボに行かなくなり、私はアイリを学園でも連れ歩いて。
結婚しても。
すまない。
私は愚かでダメな王であり、ダメな父であり、ダメな夫だった。
もうすぐ私は死ぬだろうが、君の下へはいけないだろう。
「……レイチェル、レイチェル、すまない。」
うわごとをいう寝台の上の夫を見下ろし、冷ややかに見つめる。
「なによ。レイチェルレイチェルって。まぁいいわ。どうせもう何の役にも立たないんだから。」
悪女は夫の水差しに、毒を入れた。
学園に入ったばかりで彼女には親しい人もいない。
友達と言えば、侍女くらい。
僕が守ってあげなくちゃ。
「何か欲しいものはある?僕が用意できるものなら。」
「秘密のガゼボが欲しいです。お恥ずかしいのですが、私は……王子にふさわしい立派なお妃になるために、ものすごく、その、実は無理をしています。」
「そうなの?いつだって君は完璧に見えるけど。」
「それはそう、見せているだけですわ。だから、息抜きがしたいなって…。」
「ガゼボが気に入ったんだね。」
「はい!花がいっぱいのこの国に嫁げて、私は幸せです!」
君は本当にあのガゼボが好きだった。
一緒にブランコに乗って、楽しかった。
そう、君は真面目で、完ぺきな妃であろうと無理をする人だった。
私に口うるさく言うのは、私のため国のためだったのに。
魂を絡めとるように甘やかす女に、徐々に毒されて。
ガゼボに行かなくなり、私はアイリを学園でも連れ歩いて。
結婚しても。
すまない。
私は愚かでダメな王であり、ダメな父であり、ダメな夫だった。
もうすぐ私は死ぬだろうが、君の下へはいけないだろう。
「……レイチェル、レイチェル、すまない。」
うわごとをいう寝台の上の夫を見下ろし、冷ややかに見つめる。
「なによ。レイチェルレイチェルって。まぁいいわ。どうせもう何の役にも立たないんだから。」
悪女は夫の水差しに、毒を入れた。
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