王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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「こっち、こっち。」

レナードに手を引かれて校舎の裏に回ると、校庭の樹に丈夫なロープで結びつけられたブランコと、ガゼボ、可愛い小さなおうち。


校舎裏とは思えない立派な薔薇園があった。

人目につかないように迷路のような植え込みに隠されたそこ。


小さな家の壁には、「●●●♡レイチェル」とナイフで削ったような跡があった。

レイチェル妃の想いでの場所だったのだろうか。

僕の目線だからこそ気づいた壁の隙間の目立たないところ。



「すごい。こんな場所なのに手入れされていて。」



「レイチェル妃の想いでの場所でしたから。手入れさせていただいておりました。」

リリーが言う。

そうか。お義母様はレイチェル妃の侍女だものね。




「おいで、アレックス。」
レナードに呼ばれて、ブランコに座っているレナードの太ももに座る。

ゆっくり、ゆっくり。

ブランコが揺れる。



「アレックスは妃なんて、興味なかったと思うんだけど…。ごめんね。」

「いやぁ、それは二人で向こうで聞かされて、一緒に決めたことだし…。」

「本当は適当に公爵位を貰って、向こうで暮らすつもりだったんだけどなぁ。二人に押し付けられちゃったのかな。」


「あー。今思えば、新婚旅行のあれって向こうの貴族へ僕たちを紹介して、品定めされてた?」

「そうかも。」

「大変そうだけど、やりがいあるよ。何にしても嫌いな人がいない!」

「ああ。グレイシャスがいないのはでかい。」

「サザンドラ王女大丈夫かなぁ。」


「大丈夫だって言ってたよ。何か考えがあるらしい。」

「そっか。」


唇が、唇を求める。


「……んっ。」



舌を追いかけられて、銀糸がのびる。






「いい?」


そんなこと、熱い眼差しで言われたら、もうYESでしかないでしょう?

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