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女狐はしぶとい、愚かな王は倒れる
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「あらいやですわっ。私は当時側妃。そして、殆ど同時期に産んだ王子の母。愛する陛下の愛を独占したい、できれば我が子こそ後継にしたい…。そう心の中で願ったとしても、それは罪です?私の立場なら、誰でも心の中でそう思うはずよ?………でもまさか、義理の父がこんな恐ろしいことをするなんて思っても見なかった。あぁ、もしかしてこの方は私を王妃にして権力を得ようと。それで私を養女にしてくださったのかしら!」
「あ……っ。あっ。アイリっ。お前…っ!」
事務官長が叫ぶ。
「陛下ぁ!!騙されないでくださいっ!この女は、馬鹿なふりをしてっ。私はこの女に唆されたのです!」
少し体が揺れ、捕えていた公爵と伯爵は騎士を呼んで拘束させた。
「きゃぁ!怖いわ!」
しなを作って、陛下の腕に縋る。
だが、陛下はその手を払いのけた。
疑念が生まれた。
「……お前は、なんということを!」
「私、何もしてないわ。」
「………っ、ぐっ。」
突然、胸を押さえて苦しみだす陛下の様子に、スワン王子が体を支えた。
「あ、あ、お父様!」
「そこの顔だけ王子!アルファの無駄遣い!ぼけっとしてないで医者を呼べ!安静にさせろ!陛下の次はお前が責任者だろ!一応王太子なんだから!」
「ちょっとリーフ王子殿下。社交界ですよ、社交界。もう少し繕って。」
「レナード。陛下は心臓が弱いみたいだ。体が弱いから公務を公爵に押し付けていたというのもあったのかも。」
「どうなんだ、スワン王子。」
スワン王子は、困ったような顔をした。
そうか、長くないのか。
アイリ妃にコントロールされ、母を疎んじ、俺を放置した。
愛情をかけてもらった記憶はないのに、まるで愛していたかのようなふるまいをされて戸惑ったけど…。
そうか。
長くないのか。
『宣言しなければならない一番大事なこと』を陛下の前で言うのは気が引けて。
陛下が退場してから改めて。
「でもまあ、貴方が生きていてよかったわ。もう王太子はグレイシャスに決まっているから、あなたは家臣として支えて頂戴ね。クリフォート伯爵になるのでしょう?」
「そのことなんですがね、我がウインター王国陛下に代わって、僕がお話しましょう。」
スワンが前に出る。
こうしてみると、本当にカリスマ性がある。
でも、だから、本当にいいのだろうか。
――――――だが、そうと決めた。
「ナード=クリフォートはレナード=グロリアス=ウインターとして、私の弟に養子縁組し、精霊の愛し子であるアレックスを妃として、我がウインター王国の王太子になることがこの度決まりました。」
俺を挟んで、右にスワンが立つ。
そして、左にリーフが出る。
「この時にあわせて、各国にも書簡を送付しております。」
「えっ?ちょっと待って??愛し子を連れて他国へ行くというのっ!?しかも、ウインター王国の王太子に???」
「どういうことだ!いくら血が繋がってるからってお前なんかが!二人も王子がいるのに!」
「「僕たちは、愛に生きるオメガだからお嫁にいくんでーす。」」
「なっ!」
悪い王妃様と大嫌いな王子が百面相をしてる。
悪い人なのにあの事務官長さんにだけ責任を押し付けて。
教唆したのに逃れるなんて…。
そう思いながら、色んな感情で震えるレナードの手を優しく握り続けた。
ぱちっ。ぱちっ。
僕の精霊さんもものすごく怒ってる。
<あの女ゆるせないわ!>
<ああいうのが悪女っていうのね!>
あれ?
もう一つ光があるような。
しかも大きい?
急に現れた光は広がって……。
状況を見守っている人たちが驚く中、大きな人が現れた。
精霊王、さま?
「あ……っ。あっ。アイリっ。お前…っ!」
事務官長が叫ぶ。
「陛下ぁ!!騙されないでくださいっ!この女は、馬鹿なふりをしてっ。私はこの女に唆されたのです!」
少し体が揺れ、捕えていた公爵と伯爵は騎士を呼んで拘束させた。
「きゃぁ!怖いわ!」
しなを作って、陛下の腕に縋る。
だが、陛下はその手を払いのけた。
疑念が生まれた。
「……お前は、なんということを!」
「私、何もしてないわ。」
「………っ、ぐっ。」
突然、胸を押さえて苦しみだす陛下の様子に、スワン王子が体を支えた。
「あ、あ、お父様!」
「そこの顔だけ王子!アルファの無駄遣い!ぼけっとしてないで医者を呼べ!安静にさせろ!陛下の次はお前が責任者だろ!一応王太子なんだから!」
「ちょっとリーフ王子殿下。社交界ですよ、社交界。もう少し繕って。」
「レナード。陛下は心臓が弱いみたいだ。体が弱いから公務を公爵に押し付けていたというのもあったのかも。」
「どうなんだ、スワン王子。」
スワン王子は、困ったような顔をした。
そうか、長くないのか。
アイリ妃にコントロールされ、母を疎んじ、俺を放置した。
愛情をかけてもらった記憶はないのに、まるで愛していたかのようなふるまいをされて戸惑ったけど…。
そうか。
長くないのか。
『宣言しなければならない一番大事なこと』を陛下の前で言うのは気が引けて。
陛下が退場してから改めて。
「でもまあ、貴方が生きていてよかったわ。もう王太子はグレイシャスに決まっているから、あなたは家臣として支えて頂戴ね。クリフォート伯爵になるのでしょう?」
「そのことなんですがね、我がウインター王国陛下に代わって、僕がお話しましょう。」
スワンが前に出る。
こうしてみると、本当にカリスマ性がある。
でも、だから、本当にいいのだろうか。
――――――だが、そうと決めた。
「ナード=クリフォートはレナード=グロリアス=ウインターとして、私の弟に養子縁組し、精霊の愛し子であるアレックスを妃として、我がウインター王国の王太子になることがこの度決まりました。」
俺を挟んで、右にスワンが立つ。
そして、左にリーフが出る。
「この時にあわせて、各国にも書簡を送付しております。」
「えっ?ちょっと待って??愛し子を連れて他国へ行くというのっ!?しかも、ウインター王国の王太子に???」
「どういうことだ!いくら血が繋がってるからってお前なんかが!二人も王子がいるのに!」
「「僕たちは、愛に生きるオメガだからお嫁にいくんでーす。」」
「なっ!」
悪い王妃様と大嫌いな王子が百面相をしてる。
悪い人なのにあの事務官長さんにだけ責任を押し付けて。
教唆したのに逃れるなんて…。
そう思いながら、色んな感情で震えるレナードの手を優しく握り続けた。
ぱちっ。ぱちっ。
僕の精霊さんもものすごく怒ってる。
<あの女ゆるせないわ!>
<ああいうのが悪女っていうのね!>
あれ?
もう一つ光があるような。
しかも大きい?
急に現れた光は広がって……。
状況を見守っている人たちが驚く中、大きな人が現れた。
精霊王、さま?
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