王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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この日のための準備2

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「レナード!レナードだろうっ!?よかった、生きていたんだな!!!」


目から涙を流し鼻水を流すこの人は、愚かな男だが憎んではいない。

俺の手汗はアレックスも分かっただろう。ぎゅっと繋いでくれる。



「今までどうしていたのっ?もう、みんな心配したんだからねっ。」
この人はわざとらしい。


「今更現れたところで、お前は王族の教育を受けていないのだから、王太子は私だっ!しかも、お前、なんでアレックスをエスコートしてるんだ!なんてやつだ!アレックスが美しいからナードから奪ったのか!」

お前と一緒にするな。



スワン王子とリーフ王子が相槌を打つのを見て、俺は一歩後ろに下がり、胸を張った。





遠くでコンフォート公爵家とクリフォート伯爵家も見守ってくれている。

両家で事務官長の身柄は抑えたようだ。



震えに耐えて、声を張る。




「私は事故に見せかけて殺されるところを母の侍女だったクリフォート伯爵夫人に救われ、髪を染め、化粧をしてナード=クリフォートとして生きておりました。アレックスはナード=クリフォートの妻。私がナードなのですから、アレックスをエスコートして当然です。」


陛下は目を潤ませて、手を伸ばしてくる。


「そうか……。そうか。お前が『愛し子』と。これはなんということか。精霊様の思し召しだ。精霊王様は私たちを見守って慈しんでくださる。しかし、事故と見せかけて殺……とは。」


「その時は上手く証拠も隠滅したようです。あの頃はまだ事務官長ではなかったあなたは、列車の整備士に扮して潜り込んでいた。クリフォート夫人に隠されて列車の下に私はいました。あなたは、私たちを助けるのではなく、死んだかどうかを確かめるために夫人に声をかけている。ですが、今回は仕事を放って潜り込める立場ではなかった。その結果、私は事故を未然に防ぐことが出来た。」


「事務官長!!?………確かアイリの義理の…。それに、『今回』って!!?」


「陛下ぁ、アイリ知りませんっ。」

お義父様がこんな方だったなんてぇ、と王妃は嘘泣きを始めている。


全く白々しい。



「レイチェル叔母さんとレナードが邪魔だったんでしょう?二人がいなくなればあなたは王妃になれるし、息子は間違いなく王太子ですものね。」

「おばさんがぶりっ子なんて痛いですよ。」

他国の王族でしがらみのない間柄、むしろ国力はウインター王国が上とあって、二人の王子は王妃を煽る。



王妃はにぃっと笑った。









レナード頑張れ。

さっきからレナードが緊張しているのが分かる。

精霊さま。精霊の王様。レナードを守ってね。



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