王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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閑話 リーフ王子と近衛騎士

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「クレイ。疲れた。抱っこ!」

黒髪の小柄なリーフ王子は猫のように自分の騎士に甘える。

クレイ=ウッドチップ辺境伯爵令息。


「本当に仕方ありませんね。」

悪態を尽きながらも優しい騎士は、騎士にしてはスレンダーだが腕の立つ男だ。


「だって僕は小さいからその分歩幅が皆より小さいんだ。皆について行くためには、皆よりいっぱい急がないといけないんだよ!」

だから疲れるの!


と尖らせた唇にちゅっと軽いキス。


「結婚したら、お父様みたいに歩幅を合わせてね。クレイ。」

「仕方ありませんね。急ぎの時は抱っこして差し上げますね。」


クレイに抱っこされて、僕の温室へ行く。


僕は植物の研究者!



ウィンター王国にあって、まるで南の国のような植物の生い茂る空間の先に、僕の仕事場がある。

寒さに強くなるような品種改良やビニールハウス栽培の研究をしている。



「王子のおかげですよ。今の王国の食が豊かなのは。毎日シェフが王子に感謝しています。」

えへん。


だって、偏食家のクレイにおいしいものを食べさせたかったからね!

動機は不純でも、国民も幸せになった。

愛ってすごいよね。
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