王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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閑話 スワン王子と近衛騎士

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「リチャードっ!」


プラチナブロンドに緑の瞳。

陛下にそっくりでも、オメガのせいか筋肉がつきにくく細身で、どちらかといえば妹のレイチェルに近い麗しい容姿の王子が自分の騎士に振り返る。

真っ白な生地に金糸で彩られた近衛騎士の制服に身を包む彼は、この国の侯爵家の嫡男で、リチャード=バードという。

背が高く、自分をすっぽり包んでしまう頼りがいのある腕の中にいると、安心した。


「リチャード。新しい刺繍をしたの。身につけてくれたら嬉しいな。」

「ありがとうございます。私は幸せです。」


リチャードは、スワン王子の机の上の本を見た。

人体の本。

医学書だ。


「僕はこの国一番の医師になるよ。大好きなリチャードやみんなを医学の立場から守るんだ。」

「心強いです。王子は手先が器用です。こんなに細かい刺繍が出来るのですから、きっといい外科医になれますね。」

リチャードがもらったネクタイには、びっしりと同色の糸で刺繍が施されている。


「うふふ。僕は失敗しない医師になるんだ。」



早くお嫁に行きたい。

レナードたちの視察は貴族たちや国民に好意的に受け入れられるだろう。


ごめんね。

君たちを利用しているみたい。


こちらにいる間に2人にはちゃんと説明しよう。

彼らにとっても悪い話ではないはず。
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