王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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陛下は頭が痛い。

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はぁ…。


「あらまぁ、へーかったらぁ。別にいいじゃないですかぁ。コンフォート公爵家もぉ、クリフォート伯爵家もぉ、王家の忠犬じゃないですかぁ。ワン!」

年を取ってなお可愛らしい妃が犬のまねをして抱き着いてくる。
レイチェルは美人だったが、口うるさくて鼻持ちならなかったからな。
少しはアイリを見習えばよかったものを。

ただ、今日は少し可愛いはずのアイリがめんどくさく感じた。
こういう時、レイチェルとレナードが生きていてくれたら…。
レナードならグレイシャスのような愚かなこともしなかったんだろうな。

本当にどうして二人とも事故にあってしまったのか。


「………確かに、他国に嫁に行かれるよりはよかったのかもしれん。」


「うーん、それでぇ☆グレイシャスの妃ですけどぉ。サマー王国のサザンドラ王女はいかがかしらっ!?最近、お茶会で仲良くなっちゃったんですの!大国の姫君ですしぃ、あの子の後ろ盾にも最適ダワっ!」


「うーん、サザンドラ王女か。いいかもしれんなぁ。」






「くしゅっ。」

王城にほど近い高級宿にサザンドラ王女は侍女のレイナと生活している。

「まあ!たいへん。何か温かいものをお持ちいたします!」

「……嫌ですわ。どなたかが私の噂をしているのかしら。もしかしたら釣り針にひっかかった、のかしらね。」

「そうであればよろしいですわね。」

レイナは暖かいホットミルクを主のためにサーブした。
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