王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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君は可愛い

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お風呂に入っていると、侍女さんが入ってきた。

「え?侍女さんっ?僕、一人で入れますう!」

「私はメリーです。特技はメイクやエステですわ。」
「私はリリーです。ヘアメイクや髪の手入れが専門です!」

私たちの仕事を奪わないでください!
といわれれば、任せるしかない。

よく見れば2人は対のアメンシトリーに斜めに切られた前髪で同じようにサイドをお団子にしている。

右の前髪が長い方がメリーさんで左の前髪が長い方がリリーさん。
双子らしい。


「まあ!きめ細かい肌。磨きがいがありますわ!」

「こんな長い前髪はちょきん!」

「うう、僕ブスなのにい。」

「誰がそんなこと言ったんです!若奥さまは美人です!顔を出さないと世界の損失です!」


そう言われて見れば………あのバカ王子にしか言われていないような?

でも僕、自信ないよ。

「ナード様が望んでいるのだからいいじゃないですか。少なくとも隠すほど嫌悪感のある顔でないことは確かですよ?ナード様にとって好ましいのであれば、それでいいと思えませんか?」


うーん。



僕はされるがまま磨かれながら、幼少期ぶりに目の前が見やすくなった。

鏡で見た顔は、確かにちょっと。

思ったよりまし、かも。






「ナード様!出来ましたわ!」

髪をセットして制服を着て。
ナードの前に立つ。

「アレックス!可愛い!」

艶やかになった黒髪の毛先を遊ばせて、青い瞳が露わに。
輝きは星屑。

抱きしめられて、ちょっと照れくさい。
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