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精霊の王様とウィンター王国の王様

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「おーさま!おーさま!アレックスお嫁さんになったわ!」

「れなーどのおよめさん!」


1人がまだ形だけのつもりでいるものの、実は相思相愛に変わりなく。
同意の上で無事に番になったその晩。


アレックスの友だちの精霊たちは精霊の世界の王様のところへ飛んでいった。

人間の世界では、光の玉としてぼんやりした姿しか持たない彼らは、徐々に実態をとった。

1人は大地の化身で緑の髪に褐色の肌。
1人は天空の化身で青い髪に白い肌。


彼らが纏わり付く王様は、大きな体を森に横たえる。

空色の髪は神聖な輝きに満ち、緑のカーテンのような衣を纏い、肌は大地の褐色、燃えるような火の色の爪。
夜の星が浮かぶ真っ青な瞳。

精霊王と同じ瞳の色をアレックスはしていたのだ。


「よかった。前の子はあまりいい結婚ができなかったからね。」


昔、他の国よりもスプリング王国は災害が多い国だった。

ある心優しい巫女が何も出来ない我が身を憂いながら、災害を鎮めるための呪いとして生け贄になろうとした。

生け贄になったところで災害が防げるわけではないのに。

敬虔な心優しい民がこの国は多かった。


だから、精霊の王様はこの国に加護を与えたのだ。

自身が愛した魂が生まれ変わる度に、『愛し子』として見守りながら。


「私は彼らのような心根の者たちに幸せになってほしかっただけなのに、いつから歪んでしまったものか。」

アレックスは良い子だし、加護を辞めるつもりはないけど、そろそろ考え直しても良いかな。


ぽつりと呟きながら、精霊の王様は2人の幸せを祈り、スプリング王国の王族のことなんて、これっぽっちも関心はなかった。







「そうか。レナードが愛し子と。」
ウィンター王国の陛下は、甥っ子が愛する人まで奪われずに済んだことをただ喜んだ。

「アレックスでしたっけ。向こうの宰相の子でしたわね。ルビーも良い子だったわ。きっと良い王妃になれるわね!」
彼の妃はコロコロした声で喜ぶ。

2人の間には王子が2人いたが…………。


「お母様っ!レナードはいつおよめさんを連れて帰国するんですか?」

「私たち、早くお嫁に行きたいんですう!」


2人ともオメガだが優秀だったので、一人くらい婿を取って……と考えていたのに、2人とも自分の騎士に惚れてしまったのだ。

王配なんて滅相もない!と欲のない者たちで、ウィンター王国では、レナードに王位を継がせられないか考えていたのだった。

「まあまあ、物事には準備が必要だ。先にレナードが受け入れられる基盤を作ってやらねば。」

陛下は苦笑い。



知らぬはスプリング王国ばかりなり。
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