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アレックス=コンフォートは分かってない
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アレックス=コンフォートは分かってない。
アレックスの青い目は鮮やかで吸い込まれそうに美しい。
それは、アレックスが精霊の愛し子だからだ。
黒い髪は艶やかで、成長とともにつぼみは花開き、前髪で隠された素顔は、白くきめ細やかな肌に形の良い小ぶりな鼻、魅力的な唇はぷるんとして、大きな青い瞳は長いまつげで彩られている。
女神のように美しい輝く美貌。
これに気づかず、劣化品を愛でるなどあいつは愚かだな。
この美貌が隠されているのは、俺にとって好都合だけど。
アレックスがあいつに虐げられるなど許さん!
アレックスがあいつのお飾りの妃になるなど許せない。
万が一あいつがアレックスの美貌に気づいたら、きっと執着するだろう。
手のひらを返したように溺愛するかもしれない。
その場合、アレックスの貞操は…。
ああ嫌だ考えたくもない。
アレックスが俺以外のものになるなんて。
おそらく王命は、アレックスがコンフォート公爵家のものだからというものもあるだろうが、何より精霊の愛し子だからに違いない。
子どもの頃から目をつけていたんだ。
あの瞳を見れば、教育を受けた王族なら『愛し子』だって分かる。
この国は精霊の守護する国だけど、何代かに一度にしか愛し子は現れない。
前の愛し子の命が尽きるのに合わせて、次の愛し子が生まれるのだ。
前の愛し子は、現陛下の祖母だった。
俺は直接知らないけど、お母様がおっしゃっていた。
ひいおばあさまも王命で嫁がされた方だったけど、愛のない結婚であまり幸せではなかったらしい。
ひいおじいさまは愛していなくても大事にはしてくれたから、それがせめてもの救いで…。
さぁ。
今こそ動く時だ。
「アレックス、大丈夫。俺に任せて!俺なら、アレックスと結婚出来たら嬉しいな。アレックスは俺じゃ嫌?」
「ううん!巻き込んでゴメンね。形だけの結婚だし、好きに恋愛していいからね!ほとぼり冷めたら離婚してもいいから!」
うん?分かってないね。
王命に先んじて結婚しても、王は諦めないだろう。
諦めさせるには、本当に番になる必要がある。
オメガが番えるのは生涯一人だけ。
番から引き離して別の者が無理やり娶った場合、そのオメガは弱って死んでしまう。
精霊の愛し子であるアレックスが死ぬようなことは避けたいはず。
だから、アレックス。君は俺がもらうからね。
公爵と父に連絡をとり、結婚の書類を作成した。
二人とも俺たちを祝福してくれて、公爵は陛下に承認の決裁を押させた。
『子どもの結婚手続だ』といえば、姉の方と勘違いしたまま承諾したそうだ。
さて、今夜は身内だけの結婚式。
神父も手配した。
今日から一緒に暮らそう。
初夜も…………ね?
アレックスの青い目は鮮やかで吸い込まれそうに美しい。
それは、アレックスが精霊の愛し子だからだ。
黒い髪は艶やかで、成長とともにつぼみは花開き、前髪で隠された素顔は、白くきめ細やかな肌に形の良い小ぶりな鼻、魅力的な唇はぷるんとして、大きな青い瞳は長いまつげで彩られている。
女神のように美しい輝く美貌。
これに気づかず、劣化品を愛でるなどあいつは愚かだな。
この美貌が隠されているのは、俺にとって好都合だけど。
アレックスがあいつに虐げられるなど許さん!
アレックスがあいつのお飾りの妃になるなど許せない。
万が一あいつがアレックスの美貌に気づいたら、きっと執着するだろう。
手のひらを返したように溺愛するかもしれない。
その場合、アレックスの貞操は…。
ああ嫌だ考えたくもない。
アレックスが俺以外のものになるなんて。
おそらく王命は、アレックスがコンフォート公爵家のものだからというものもあるだろうが、何より精霊の愛し子だからに違いない。
子どもの頃から目をつけていたんだ。
あの瞳を見れば、教育を受けた王族なら『愛し子』だって分かる。
この国は精霊の守護する国だけど、何代かに一度にしか愛し子は現れない。
前の愛し子の命が尽きるのに合わせて、次の愛し子が生まれるのだ。
前の愛し子は、現陛下の祖母だった。
俺は直接知らないけど、お母様がおっしゃっていた。
ひいおばあさまも王命で嫁がされた方だったけど、愛のない結婚であまり幸せではなかったらしい。
ひいおじいさまは愛していなくても大事にはしてくれたから、それがせめてもの救いで…。
さぁ。
今こそ動く時だ。
「アレックス、大丈夫。俺に任せて!俺なら、アレックスと結婚出来たら嬉しいな。アレックスは俺じゃ嫌?」
「ううん!巻き込んでゴメンね。形だけの結婚だし、好きに恋愛していいからね!ほとぼり冷めたら離婚してもいいから!」
うん?分かってないね。
王命に先んじて結婚しても、王は諦めないだろう。
諦めさせるには、本当に番になる必要がある。
オメガが番えるのは生涯一人だけ。
番から引き離して別の者が無理やり娶った場合、そのオメガは弱って死んでしまう。
精霊の愛し子であるアレックスが死ぬようなことは避けたいはず。
だから、アレックス。君は俺がもらうからね。
公爵と父に連絡をとり、結婚の書類を作成した。
二人とも俺たちを祝福してくれて、公爵は陛下に承認の決裁を押させた。
『子どもの結婚手続だ』といえば、姉の方と勘違いしたまま承諾したそうだ。
さて、今夜は身内だけの結婚式。
神父も手配した。
今日から一緒に暮らそう。
初夜も…………ね?
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