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卒業後の二人 

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がりがりがりがり。


静かな部屋に万年筆の音が響く。

うん、いい書き味だ。


「はい、できたよ。出しておいて、ミリオン。」

「確かに。うん、いいですね。」



僕は叔父さんというよりはニーノの子どもになりたいので、二人が結婚するまで城で王子として過ごす。

内政はお兄様やミーナが得意なので二人の手伝いみたいなものだが、王子を辞めた後は主に外国との貿易関係や軍部の統率の補佐(権限自体は陛下になるからね)が僕の仕事になるようだ。

お兄様たちはあれこれ内政を改革していきたいみたいだから、少しは受け持たないとね。


公爵家はまだまだ叔父様が元気だし、ニーノが優秀だから当分僕の出番はないはず。

公爵家はお兄様たちに協力して、領内で教育改革や福祉政策を先行させるみたい。

貴族が通う学園も公爵家の所管(叔父様が理事長)だから、そのうちあの学園にも優秀な平民の子が入ってくるのだろう。
若しくは、平民用の高等教育機関を新たにつくるか、かな。
僕なら後者かな。
前者にするなら、貴族の間に特権階級意識や選民思想がなくなってからでないと、軋轢が生まれるだろうから。
前者が理想だけど、すぐには無理だろう。



「ミリオンが厳しく目を光らせているから、集中して頑張れたよ。」

「えらいですよ。」

さっとミリオンは僕の好きなハーブティーを出してくれる。


ふんわりとお湯の中で花が開くのが優雅で素敵だと思う。
透明なポットがあったらいいのに。

………叔父様に言ってこんどあの領地で作ってもらおうかな。
技術者がいるし、たぶんできるだろう。


目の前にいる婚約者になった男を見る。

ミルクティー色の柔らかい髪。ヘーゼルの瞳。


優しい色合いの厳しさもある男。



「もう今日の仕事は終わりかな。」

「もうないですね。」

2人の雰囲気は生徒会長と副会長だった頃から変わらない。


いや、変わった。

「ミリオン……。」



「エンリケ王子……。」




甘い口づけをすると、傍にある大きな寝台へ落ちる。

触れられる指も甘い。
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