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よく見たらいるヒューイさん
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さすがヒューイさんだなぁ。時々興奮気味のブルーノ様をうまく操縦してる。
エンリケ王子は大人しい。
生徒会長だもんね。
知り合いが周りにいないブルーノ様ははっちゃけられるが、知り合いだらけのエンリケ王子は我慢してくれているみたい。
そして、魔法使いに綺麗にしてもらった俺は…。
ほぅ、と客席からため息が漏れる。
「綺麗ですよ、ニーノ様。」
舞台袖のマシューが親指を立てる。
舞台の光を浴びて、きらきら輝く銀糸を織り込んだ生地に、クリスタルに似た光を反射するビーズを縫い留めて、ふんわりと軽く。
薄い青のドレスで花道を歩く。
黒い髪にはパールの飾り。
眼鏡をとって、『ローズ』の時のように化粧をして。
舞台中央の王子役のシーザルが俺を見て、ダンスに誘う。
でも、楽しい時は終わり。
靴を残して俺は花道から逃げる。
最後は、靴の持ち主を探す王子がシンデレラを見つけてハッピーエンド!
俺に本当にできるのかな?って思ったけど、お客さんたちの拍手喝采が嬉しい。
よく見ると、お父様もお母さまもお兄様たちも客席にいた。
(おかしい……。)
メロディは客がつかない。
どうにもこうにも客がついたのは最初だけ。
他のたいしたことのない女生徒にお茶を淹れてもらう客が多い。
ぶすっとした顔で人気のある女生徒を見る。
穏やかな性格で凡庸としたデブスの子爵令嬢。
なんであんなのが。
「分からないかなあ、ミューズ子爵令嬢。こないださぁ、見た目だけの人が年取って見た目も悪くなった上に破滅したんだよ。君も、気を付けた方がいい。見た目なんて、年をとれば誰だって多かれ少なかれ褪せるんだから。君が睨んでいるクラリス様は自ら孤児院に行って子どもたちに勉強を教えている人だよ。そういう、打算のないところで本当に優しい人って馬鹿じゃない男ならちゃんと見てるんだよ。」
クルーズはメロディに忠告したつもりだ。
だが、ぎろりと睨まれた。
そこへ―――――――
「おい、さっきのシンデレラ。ニーノ=シリアス公爵令息だったらしい。」
「すごく美しかったなぁ…。まさに女神だった…。」
「女神、ってなあ。」
「そういえば、後夜祭のキャンプファイヤーの女神は彼らしいぞ。」
「楽しみだ。」
「キャンプファイヤーの女神っていえば、確かメロディって子がやりたがってなかったか?会長の指名なら仕方ないよな。」
「今日のシンデレラ見ちゃったら、会長の審美眼が正しいと言わざるを得ないな。メロディも可愛い方だけど、あれを見ちゃったら………なぁ。」
「性格も悪いしなー。ちょっと可愛いだけで天狗になってるからな。」
「いえてるわ。」
廊下を通り過ぎる男子生徒。
メロディは悔しくて、唇を噛んだ。
今まで、自分が一番可愛いからと男の子にプレゼントをねだったり、宿題をやってもらったり、やりたい放題で女王様のように振る舞ってきた。
そのメッキがはがれていた。
エンリケ王子は大人しい。
生徒会長だもんね。
知り合いが周りにいないブルーノ様ははっちゃけられるが、知り合いだらけのエンリケ王子は我慢してくれているみたい。
そして、魔法使いに綺麗にしてもらった俺は…。
ほぅ、と客席からため息が漏れる。
「綺麗ですよ、ニーノ様。」
舞台袖のマシューが親指を立てる。
舞台の光を浴びて、きらきら輝く銀糸を織り込んだ生地に、クリスタルに似た光を反射するビーズを縫い留めて、ふんわりと軽く。
薄い青のドレスで花道を歩く。
黒い髪にはパールの飾り。
眼鏡をとって、『ローズ』の時のように化粧をして。
舞台中央の王子役のシーザルが俺を見て、ダンスに誘う。
でも、楽しい時は終わり。
靴を残して俺は花道から逃げる。
最後は、靴の持ち主を探す王子がシンデレラを見つけてハッピーエンド!
俺に本当にできるのかな?って思ったけど、お客さんたちの拍手喝采が嬉しい。
よく見ると、お父様もお母さまもお兄様たちも客席にいた。
(おかしい……。)
メロディは客がつかない。
どうにもこうにも客がついたのは最初だけ。
他のたいしたことのない女生徒にお茶を淹れてもらう客が多い。
ぶすっとした顔で人気のある女生徒を見る。
穏やかな性格で凡庸としたデブスの子爵令嬢。
なんであんなのが。
「分からないかなあ、ミューズ子爵令嬢。こないださぁ、見た目だけの人が年取って見た目も悪くなった上に破滅したんだよ。君も、気を付けた方がいい。見た目なんて、年をとれば誰だって多かれ少なかれ褪せるんだから。君が睨んでいるクラリス様は自ら孤児院に行って子どもたちに勉強を教えている人だよ。そういう、打算のないところで本当に優しい人って馬鹿じゃない男ならちゃんと見てるんだよ。」
クルーズはメロディに忠告したつもりだ。
だが、ぎろりと睨まれた。
そこへ―――――――
「おい、さっきのシンデレラ。ニーノ=シリアス公爵令息だったらしい。」
「すごく美しかったなぁ…。まさに女神だった…。」
「女神、ってなあ。」
「そういえば、後夜祭のキャンプファイヤーの女神は彼らしいぞ。」
「楽しみだ。」
「キャンプファイヤーの女神っていえば、確かメロディって子がやりたがってなかったか?会長の指名なら仕方ないよな。」
「今日のシンデレラ見ちゃったら、会長の審美眼が正しいと言わざるを得ないな。メロディも可愛い方だけど、あれを見ちゃったら………なぁ。」
「性格も悪いしなー。ちょっと可愛いだけで天狗になってるからな。」
「いえてるわ。」
廊下を通り過ぎる男子生徒。
メロディは悔しくて、唇を噛んだ。
今まで、自分が一番可愛いからと男の子にプレゼントをねだったり、宿題をやってもらったり、やりたい放題で女王様のように振る舞ってきた。
そのメッキがはがれていた。
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