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決着を決めるとき
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「ここです。こちらでお休み下さい。」
「ありがとう。」
広い客間のベッドルーム。
ゆっくりとニーノを下ろす。
「では、私はしばらく弟を見ていますので……」
振り返った瞬間。
呼吸が苦しくなる。
分かっていたはずなのに。
目の前の騎士はフルフェイスの兜を外し、すぐ真後ろに立っていた。
下卑た笑みを浮かべて。
「…………っ!」
「ひひっ。久しぶりだねえ、イーノちゃん。ボクと離れて寂しかったでしょう?酷いよね、ボクらは運命の相手なのに!あの時は君がまだ子どもだったから勘違いされちゃったんだよね。もう大人同士だもん、ボクらの間には障害はないんだよ。ああ、なんて君は綺麗に成長したんだろう。さぁ、ボクの胸に飛び込んでおいで!」
あの時22歳の若者だった男は、40歳になっていた。
年を重ね、騎士として成熟し、筋肉で厚みを増した体。
アッシュがかった金髪とオレンジ色の瞳。
騎士という職に就き、家柄もよかった。見た目だって悪くはなかったのに、何故すべてを台無しにしてまで自分だったのか。
「何を言っているんですか、私は貴方のことをなんとも思っていない。今も、昔も!気持ちが悪い!」
「……――――何を……!!?」
お手洗いに付き添った帰り道に植え込みに連れていかれて怖かった。
周りの騎士が探してくれなかったら………!
服を脱がされることはなかったけど、無理やり口づけをされ、口淫をさせられそうになった。
初めて見る醜悪なそれ。
恐怖で体が竦み、それ以来、男性が怖くて仕方がなかった。
お父様が、カントが……。みんなの支えがあったから!ここまで立ち直れたんだ!
自分が囮になることを、カントは反対した。
だけど、自分が望んだ。
自分の手で始末しなければ、きっと私はずっと、怖いまま。
ニーノが付き合ってくれるといった。
ひとりじゃない。二人なら。
外には、みんなが待ち構えているはず。
やれる。
男が向かってくる。
「犯してやる!そうすれば君だってわかるはずだ!」
ブチっとジャケットのボタンが引きちぎられた。
「ありがとう。」
広い客間のベッドルーム。
ゆっくりとニーノを下ろす。
「では、私はしばらく弟を見ていますので……」
振り返った瞬間。
呼吸が苦しくなる。
分かっていたはずなのに。
目の前の騎士はフルフェイスの兜を外し、すぐ真後ろに立っていた。
下卑た笑みを浮かべて。
「…………っ!」
「ひひっ。久しぶりだねえ、イーノちゃん。ボクと離れて寂しかったでしょう?酷いよね、ボクらは運命の相手なのに!あの時は君がまだ子どもだったから勘違いされちゃったんだよね。もう大人同士だもん、ボクらの間には障害はないんだよ。ああ、なんて君は綺麗に成長したんだろう。さぁ、ボクの胸に飛び込んでおいで!」
あの時22歳の若者だった男は、40歳になっていた。
年を重ね、騎士として成熟し、筋肉で厚みを増した体。
アッシュがかった金髪とオレンジ色の瞳。
騎士という職に就き、家柄もよかった。見た目だって悪くはなかったのに、何故すべてを台無しにしてまで自分だったのか。
「何を言っているんですか、私は貴方のことをなんとも思っていない。今も、昔も!気持ちが悪い!」
「……――――何を……!!?」
お手洗いに付き添った帰り道に植え込みに連れていかれて怖かった。
周りの騎士が探してくれなかったら………!
服を脱がされることはなかったけど、無理やり口づけをされ、口淫をさせられそうになった。
初めて見る醜悪なそれ。
恐怖で体が竦み、それ以来、男性が怖くて仕方がなかった。
お父様が、カントが……。みんなの支えがあったから!ここまで立ち直れたんだ!
自分が囮になることを、カントは反対した。
だけど、自分が望んだ。
自分の手で始末しなければ、きっと私はずっと、怖いまま。
ニーノが付き合ってくれるといった。
ひとりじゃない。二人なら。
外には、みんなが待ち構えているはず。
やれる。
男が向かってくる。
「犯してやる!そうすれば君だってわかるはずだ!」
ブチっとジャケットのボタンが引きちぎられた。
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