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トラウマを断つ
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イーノは婚約者のセレナを連れて、カント王子と歓談していた。
傍には、両親とミーナ。
ミーナの養女先であるマックスウェル辺境伯家の当主と夫人、それに息子二人。
ブルーノ王弟殿下とニーノも互いの瞳の色のブローチを身に着けた揃いの衣装で参加している。
執事兼護衛のヒューイが侍女たちと一緒に、世話係に徹していた。
「こんなに素晴らしいお嬢さんを我が家の養女にいただけるなんて……。しかもカント王子の婚約者だなんて、光栄ですわ。」
スレンダーな赤毛の美女が顔をほころばせる。
「我が家は男系で、むさくるしいところだが……。私のことをどうか『パパ』と呼んでくれないだろうか!」
「じゃあ、私のことは『にぃに』と!」
「私のことは『お兄ちゃん』と呼んで欲しいぃ!」
ダークブラウンの髪とヘーゼルの瞳を持った男たちは、思いがけなく手に入れた可愛らしい娘(妹)に早くもデレデレしているのだった。
「養子にいってもまだ幼い子。縁が切れるわけではありませんもの。お互い、これから家族同然の付き合いをなさいませんこと?」
「いいですわね!タウンハウスを隣に引っ越そうかしら!」
「………そろそろ釣り針にかかるころですわ。早速ではありますがご協力よろしくお願いいたしますね。」
目で合図をすると、イーノとニーノは連れ立って飲み物と食事をとりに行った。
自然の流れだ。
ブルーノとカントはハラハラしながらも二人を見守る。
「お兄様、このワイン美味しいですね。」
「おい、飲みすぎるなよ。お前は酒に弱いんだから……。」
くったりするニーノをイーノは受け止める。
「まいったな、だから言ったのに。」
(うまいな……演技が。さすが夜会に女装で通っていただけのことはあるな。)
「イーノ様。よろしければ、部屋へ一緒にお連れしましょうか。こういう時のために休める部屋が解放されていましたよね?」
かかった!
フルフェイスの騎士。
昔、自分を襲った騎士。
忘れたいけど、忘れられなかった。
今でも手が震えそうだ。
だが、もう子どもじゃない。
自分の手で、トラウマを乗り越えるんだ。
「よろしくお願いします。」
イーノは自分で罠にかける。
傍には、両親とミーナ。
ミーナの養女先であるマックスウェル辺境伯家の当主と夫人、それに息子二人。
ブルーノ王弟殿下とニーノも互いの瞳の色のブローチを身に着けた揃いの衣装で参加している。
執事兼護衛のヒューイが侍女たちと一緒に、世話係に徹していた。
「こんなに素晴らしいお嬢さんを我が家の養女にいただけるなんて……。しかもカント王子の婚約者だなんて、光栄ですわ。」
スレンダーな赤毛の美女が顔をほころばせる。
「我が家は男系で、むさくるしいところだが……。私のことをどうか『パパ』と呼んでくれないだろうか!」
「じゃあ、私のことは『にぃに』と!」
「私のことは『お兄ちゃん』と呼んで欲しいぃ!」
ダークブラウンの髪とヘーゼルの瞳を持った男たちは、思いがけなく手に入れた可愛らしい娘(妹)に早くもデレデレしているのだった。
「養子にいってもまだ幼い子。縁が切れるわけではありませんもの。お互い、これから家族同然の付き合いをなさいませんこと?」
「いいですわね!タウンハウスを隣に引っ越そうかしら!」
「………そろそろ釣り針にかかるころですわ。早速ではありますがご協力よろしくお願いいたしますね。」
目で合図をすると、イーノとニーノは連れ立って飲み物と食事をとりに行った。
自然の流れだ。
ブルーノとカントはハラハラしながらも二人を見守る。
「お兄様、このワイン美味しいですね。」
「おい、飲みすぎるなよ。お前は酒に弱いんだから……。」
くったりするニーノをイーノは受け止める。
「まいったな、だから言ったのに。」
(うまいな……演技が。さすが夜会に女装で通っていただけのことはあるな。)
「イーノ様。よろしければ、部屋へ一緒にお連れしましょうか。こういう時のために休める部屋が解放されていましたよね?」
かかった!
フルフェイスの騎士。
昔、自分を襲った騎士。
忘れたいけど、忘れられなかった。
今でも手が震えそうだ。
だが、もう子どもじゃない。
自分の手で、トラウマを乗り越えるんだ。
「よろしくお願いします。」
イーノは自分で罠にかける。
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