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ラナのアタック (カント王子の場合)

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「いいこと、ライバルを悪役に見せかけるのよ。どうせ貴族の婚約なんて、うわべの付き合いしかしていないんだから、分からないわよ。」

「はい、お母様!」



「………。」


ケイトリンのアドバイスを本気で聞いている様子の娘にぞっとする。



王子達を紹介され、離宮に閉じ込められた私たちだが、懲りないケイトリンはラナを連れて抜け出した。


あぁあ、もう私は知らない…。

だが、監督不行き届きと言われても困る。

大きなため息をつきながら、二人を追いかけた。



場所は大体わかっている。

第一王子の執務室だ。



城の作りなど大体どこも似通っているものだ。

王太子の執務室的な場所へ向かうと、二人が物陰できょろきょろしている。

向こうからカント王子がやってきた。


ラナは目薬を差し、頬紅を頬にはたいてカント王子の前へ飛び出した。

「うあぁあぁぁぁ。カント王子さまぁあ。くすん、くすん。知らない女の子がっ、私にっ、王子の婚約者は私なんだから国に帰れと。お前なんか田舎がお似合いだと意地悪を言われましたわっ……!」


「………へぇ。」


「王子様!私も見ましたわ!おお、かわいそうな私のラナ。仮にも一国の王女なのに。おそらく、身分や容姿でラナに勝てないので、牽制されたのですわ!」


「ふぅん。………じゃあ、確かめようか。さあ、中に入って。二人とも。そこにいる王太子様もどうぞ?」


ぎっくぅ!




2人に続いて中に入ると、そこにはあの時と殆ど変わらない美しいカトレアがいた。



「………あら。」

ソファで見えないが、傍に婚約者がいるのか。

まさか、婚約者とはカトレアの娘なのか!?



「私のミーナ。こちらの方々が君に暴言を吐かれたというんだ。身分や容姿が自分より劣っているから嫉妬してそんなことをするのだろうと。」

「まぁ…。初めてお会いする方々ですが。」


スッとエレガントにソファから立ち上がった娘は、幼い。


若い。

若すぎる。

まだ学園にもいっていない年齢なのでは?


「王太子殿下。お久しぶりでございますね。貴方の婚約者だったカトレアです。破棄されて、今の夫と結ばれて、私はとても幸せですわ。…………ところで。当時、あなた方は『真実の愛』だとかいって、身分差も関係なく結ばれたのでしたね。王太子妃様は男爵令嬢でしたもの。よもや、自分たちがそんなふうに結ばれていて、他の者には、身分が上の者に婚約者を譲るべきとかいうことはおっしゃいませんわよね?」

「………そういうことは言わない。あれは間違いだったと反省してはいるが、自分たちが言えたことではない。しかし、そちらも公爵家の令嬢なのだから、男爵令嬢と違って、身分的にも正当なご縁………。」


「そうですわよね。よかった。ならば、どうして私たちが身分に嫉妬するでしょう?それに、私の娘をご覧になって?容姿、で嫉妬するでしょうか?あなたの娘と私の娘、どちらが美しくて?」

「目が腐ってなければもちろんミーナ一択だろう。ミーナと比べれば月とすっぽんだよ。そこそこ可愛い方なんだろうが、路傍の石にしか過ぎないよ。大体、ミーナは美しいだけじゃない、天才だからね!ミーナは優しいし、いつも国民のことや国のことを考えているし、私の隣に立つのはミーナしかありえないよ!どうして誰からも祝福される良縁を切って、悪縁を選ばなければならないんだい?」

第一王子が爽やかに罵る。


うぐぅ……。私の胸に刺さる。


ケイトリンやラナは、憎らしそうに100年の恋も醒めるような鬼のような形相で、カトレアとミーナ嬢を見ている。

お前、彼女を見て分からんのか!

銀髪の女神が降臨しているんだぞ!


「でっ、でもぉ!私、苛められたんですぅ!」

無理やり王子の腕をとって胸を押し付け、涙目+上目遣いのコンボが決まった。

だが、王子は気持ち悪そうに腕を振り払った。


「では、ラナ王女殿下。私は13歳の小娘ですが。貴方は仮にも一国の王女でありながら、13歳のうんと年下の小娘にしてやられるレベルだと、そういうことでいいのですね?」

扇を口元に当てて、ミーナ嬢がラナを見据えた。

カトレアみたい。

素敵。



「………うぐぅ。」


「狂言だと認めるか、それとも、一回り近くも年下の少女に言い負かされるような無能だと全世界に発信するのか、お決めになってくださいませ。」



「う、嘘よ!嘘嘘!きぃぃぃっ!もう、いいわ、次よ次行くわ!」





ミーナ&カトレアWIN。


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