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エクセレント王国の王子さま
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「おーじさんっ♡」
ヒューイと一緒に庭の薔薇を選定していたブルーノは予期していない来客に眉を顰めた。
「おい。王子様。帰れ。」
ブルーノと同じ金髪に翠の眼の、彼を幾分か幼くしたような容姿の若い男。
若さ以外に違うところと言えば、身長がやや低く、筋肉質でないところと、髪を伸ばして一つに括っているところだ。
彼は、エンリケ=ジョセフ=エクセレント。
ブルーノの兄である国王の息子で、第二王子だ。
丁度、ニーノの一つ上で、学園では最終学年。生徒会長をしていたはず。
邪険に扱われているのにも構わず、エンリケは庭に踏み込んだ。
「帰れって言ってるだろう。邪魔だ。」
「叔父様は最近夜会を主催してるんですってね。うちの学園の生徒もよく来てるらしいじゃない。」
「何が言いたい?」
「僕も参加したいなぁ~。綺麗な子がいるって聞いたんだよね。ローズちゃんって言うんでしょ?」
僕は昔からお父さんより叔父さんっ子だったでしょ。可愛い甥のお願い、だめ?
と上目遣いで甘えてくる。
エンリケは第二王子だ。
兄上には側妃も愛妾もいないから、第一王子とは母も同じ。
しかも、第一王子の能力には何の問題もない。
子どもの頃から、王位を継ぐのは兄だと考えているエンリケは、自分の立ち位置を弁えている。
そのせいか、なぜか自分によくなついていた。
かわいい甥ではあるが、だからとってローズは譲らん。
可愛いニーノは私のものだ。
「ローズは私の友人であり、妻にと望んでいる者だ。お前にはやらん。」
怒らせるな?
間違って薔薇をプッチンと手折ってしまうじゃないか。
「うわぁ。やっと叔父さんに春???なんだかますますローズちゃんを見てみたくなったよ。叔父さんをその気にさせるってどれだけ可愛いの!」
「いいから、お前は帰れ!もうすぐ客が来るんだよ!」
ニーノが来てくれる日なんだから!もう帰れ!
「叔父様のケチ~。」
「ブルーノ様。ニーノ様がお見えになりました。」
「分かった。もう行く。お前は帰れ、な!王太子じゃないとはいえ王子も暇ではないだろう!」
摘んだバラの花束を持って、ブルーノは慌てて屋敷の中へ帰っていく。
「にーの。ニーノってあれか。宰相のとこの。あの真面目眼鏡の二年生か。」
エンリケの頭の中にいつも無表情の小柄な男が浮かぶ。
「珍しい。叔父さんとどういう関係なんだろう。」
こっそりと、エンリケも屋敷の中へ入っていった。
ヒューイと一緒に庭の薔薇を選定していたブルーノは予期していない来客に眉を顰めた。
「おい。王子様。帰れ。」
ブルーノと同じ金髪に翠の眼の、彼を幾分か幼くしたような容姿の若い男。
若さ以外に違うところと言えば、身長がやや低く、筋肉質でないところと、髪を伸ばして一つに括っているところだ。
彼は、エンリケ=ジョセフ=エクセレント。
ブルーノの兄である国王の息子で、第二王子だ。
丁度、ニーノの一つ上で、学園では最終学年。生徒会長をしていたはず。
邪険に扱われているのにも構わず、エンリケは庭に踏み込んだ。
「帰れって言ってるだろう。邪魔だ。」
「叔父様は最近夜会を主催してるんですってね。うちの学園の生徒もよく来てるらしいじゃない。」
「何が言いたい?」
「僕も参加したいなぁ~。綺麗な子がいるって聞いたんだよね。ローズちゃんって言うんでしょ?」
僕は昔からお父さんより叔父さんっ子だったでしょ。可愛い甥のお願い、だめ?
と上目遣いで甘えてくる。
エンリケは第二王子だ。
兄上には側妃も愛妾もいないから、第一王子とは母も同じ。
しかも、第一王子の能力には何の問題もない。
子どもの頃から、王位を継ぐのは兄だと考えているエンリケは、自分の立ち位置を弁えている。
そのせいか、なぜか自分によくなついていた。
かわいい甥ではあるが、だからとってローズは譲らん。
可愛いニーノは私のものだ。
「ローズは私の友人であり、妻にと望んでいる者だ。お前にはやらん。」
怒らせるな?
間違って薔薇をプッチンと手折ってしまうじゃないか。
「うわぁ。やっと叔父さんに春???なんだかますますローズちゃんを見てみたくなったよ。叔父さんをその気にさせるってどれだけ可愛いの!」
「いいから、お前は帰れ!もうすぐ客が来るんだよ!」
ニーノが来てくれる日なんだから!もう帰れ!
「叔父様のケチ~。」
「ブルーノ様。ニーノ様がお見えになりました。」
「分かった。もう行く。お前は帰れ、な!王太子じゃないとはいえ王子も暇ではないだろう!」
摘んだバラの花束を持って、ブルーノは慌てて屋敷の中へ帰っていく。
「にーの。ニーノってあれか。宰相のとこの。あの真面目眼鏡の二年生か。」
エンリケの頭の中にいつも無表情の小柄な男が浮かぶ。
「珍しい。叔父さんとどういう関係なんだろう。」
こっそりと、エンリケも屋敷の中へ入っていった。
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