【完結】女装して姫プレイにハマった公爵次男は 王弟殿下に絡めとられる

竜鳴躍

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シリアス公爵家

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シリアス公爵家の朝は早い。

「善き1日は朝から始まる。」


長男:イーノは学園を首席で卒業し、今や父の片腕として宰相補佐と当主代理を務める男。
朝からキッチリスーツを着込み、複数の新聞に目を通している。
七三分けの黒髪がべったりとセットされた黒髪眼鏡である。


「ニーノ。学園ではよくやっているか。」

当主のレノは、銀髪の七三で眼鏡だ。

俺……じゃない、私は習慣で朝の予習復習をしてから制服を着こみ、朝餉を食べるためにダイニングへ来た。


「はい。成績も主席をキープしております。それから、店の方も上々です。」

「うむ。品質のいい事務用品や書籍を取り扱っていると聞いている。お前は次男だからな。爵位の一つはやれるが、領地はない。学生のうちにしっかり基盤を作れ。」


「ありがとうございます。」

次男だし、店を持ちたいと要望してよかった。
お父様が喜びそうな品を扱う店にしかできなかったけど、この店の裏で実は、俺は『ローズブランド』という店も経営している。
この店があるから、店の売り上げでこっそり遊びに行けるし、自分のドレスも準備できるのだ…。



「おはようございます。お父様。」

妹のミーナがカーテンシーをする。
妹もなぁ…。


男はスーツだからまだマシだけど、令嬢が地味だとかわいそうだと思う。
銀髪の七三分けにおさげ、流行おくれの地味なドレス。三角眼鏡の妹が不憫でならない。

絶対うちの家系はモトはいいのになぁ。


「それでは、いただきましょう。」
妹と似たようなドレスとひっつめの黒髪に三角眼鏡の母が祈りを捧げる。



そうして、俺は宰相家の一員として真面目眼鏡の仮面をかぶって、今日も登校する。




………父上母上の息のかかった侍従がついているというのもあるが、なんかもう、なかなか仮面は外せないものなのだ。








馬車から降りると、あたりに緊張が走る。

さっきまで、友人同士と気の置けない話をしていたはずの学生たちが無言になる。


真面目眼鏡の公爵令息がみな恐ろしいのだ。

「……そこの女生徒。淑女たるものがみっともない。スカート丈が1cmほど短いですよ。成長したのならば、丈を直しなさい。」


「はっ、はいぃ!」


自分としては、彼女が学園から呼び出される前に彼女のために注意しているのだが。

俺は怖いらしい。


教室に行って着席しても。

友人はいない。


話しかけてくれない。


遠巻きにされる。


夜会ではあんなに楽しくおしゃべり出来ているのに。

遠くで、お茶会や遠乗りの話をしている。

公爵令息は興味ありませんよね、と言われる。



小さい頃は、お茶会や遊びに誘ってくれる子もいた。

だが、家が断っているうちに誰からも誘われなくなった。



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