無理です!僕は絶対にこんな屑駄目王子の嫁になりませんからね?

竜鳴躍

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嘘だ!

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「ハイリは地味でもさっとした不細工だったはずだ!大体、お前だって!」


狼狽えるミラー王子。

僕の周りに、他の婚約者候補たちが集まる。



「兄上、紹介しましょうか?こちらの方々を。」



ミラー王子は顔の締まりが緩む。

エリザベートなんて目ではない、洗練された本物の淑女。本物の美女、本物の美少年のΩたち。



「全員、エリザベート嬢以外の兄上の婚約者候補だった方たちです。それぞれ騎士団長のご令嬢、辺境伯家のご令嬢、外務大臣のご令嬢、法務大臣のご令息、国土交通大臣のご令息になります。」



「殿下、エリザベート様、ご婚約誠におめでとうございます!」

「やっと自由になれました!」

「婚約者になりたくなくて、わざと不細工に取り繕ったり馬鹿な振りをしていたので、本当に嬉しいです!」

「こんな不良債権を好んで引き取ってくださったエリザベート様は私たちの女神です!」

「こんな殿下でも選んでくださったのですから、エリザベート様を大事にしなければ神罰が下りますよ!」



みな、不敬罪とは?という勢いで言いたいことを言ってスッキリしている。

俺が守ると言ったので、問題ない!

いい加減ミラーは現実を見る必要があるんだ。


「………と、いうわけです。俺たちは貴方の癇癪に付き合わされるのがめんどくさいから、あえて愚かな振りをし、服装やメイクで容姿を損なってみせていたのですよ。貴方の前ではね?」






わなわなとミラーは体を震わせる。

それほどまでに嫌われていた!?

そんな、まさか…。嘘だ!



「ハイリ!お前は私を何度も助けてくれたじゃないか!お前は本当は私を愛しているのだろう?そうだよな!」


「やめてください。嫌いな人でも目の前で殺されそうなら、人間として助けるでしょう。それだけですよ。傲慢で、自分勝手に我儘で人を傷つけて平気な貴方のことを誰が好きになるものですか。」



「ええい、王命だ!お前は私の花嫁になるんだ!」

「馬鹿ですか。唯一愛してくれた人の手を振り払って。自分の首を自分で絞めて。」



グレーが僕の肩を抱いた。




「さあ、皆様いいですか。皆様が待ち望んだ、断罪の時間です。」


グレーの宣言とともに、白い虎が姿を現した。
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