陥れられた若き伯爵と偽りと真実

竜鳴躍

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月夜の晩に

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「ランスロット。」

優しい声に誘われて、バルコニーに行くと、アーサーが僕を抱き寄せた。

アーサーに触れられるのは不快じゃない。

むしろ嬉しい。




「奇跡の水だよ。」

「これは?」

虹色に光って綺麗。


「これを飲んで精霊が祝福すると、同性同士でも子が産めるんだ。私には君だけだよ。ランスロット。誰がなんといおうと君しかいない。だから、私の子を産んでくれないか?」

「僕、でいいんですか?エメラルダ様は…………」



「エメラルダはただの幼馴染みだよ。彼女は商会主だから頼みごとをしているだけ。ごめんね、そう言われてもランスロットは不安だったね。配慮が足りなかった。」

頭を下げるアーサー。
ううん、僕が悪いの!

「彼女は僕よりひとまわり年上だし、旦那様もいて三人子どもがいるんだ。彼女に必要な材料を調達してもらったんだよ。」


そうだったの…………



「少しずつでいいよ。君を虐げる者はここにはいない。」



ああ。


僕はいつまでも一人でうじうじと閉じこもって!


アーサーが好きなのに!

愛しているのに!


「飲んで、くれる?」



こくんと頷いて、僕は一歩を踏み出す。
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