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カラット王国では………
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「ふひひ………。そろそろ大地の巫女を返してもらうか……」
宰相だった男。
カラット王国の現国王のフーガは、執務室でほくそ笑んだ。
両親が早世し、早くに国王になった元王子を嵌めた。
この国は巫女さえいれば順風満帆。
なのに、巫女に頼らなくてもいい政治をしようと言う。
仕事が出来ることも気に入らない。
私の仕事がない!
まるで私が無能ではないか!
私の元には富を失うこと、今更あくせくすることへの苛立ちを感じる貴族たちがついた。
こいつには失脚してもらおう。
王はいとこでもある姫巫女を自由にしたいようだ。
そして、あろうことか巫女の侍女である年上の男爵令嬢に気持ちがあるらしい。
王族らしく、気持ちに蓋をしているようだったが、これを使えないか、と考えた。
丁度、隣国の王が姫巫女に横恋慕していた。
姫巫女が隣国に行ってしまえば、この国は衰退する。
巫女に頼らないと言った愚かさを噛みしめろ!
一時的に衰退しても、それを理由に奴を引きずりおろせる。
王の恋を後押しし、男爵令嬢は妃になり、姫巫女と円満に婚約解消したのだが、国民はそうは思わない。
隣国の王の目論見とは違ったが、姫巫女は隣国の男に惚れて他国へ行った。
だがそれは、追放されたかのように映った。
国が衰退する程に不満はたまり、まんまと奴らを殺した。
王子は逃がしたが生き延びてはいまい。
「くっくっ。あとは姫巫女を取り返して、と。夫も死んだようだし、国民が困っていると言えば助けてくれるだろう。」
隣国には貸せとは言ったが、元々うちのものだ。
…………しかし、愚かな国民よ。今更、旧王族を偲んでも遅い。
ははははは!
彼は知らない。
姫巫女はとうに死んでいることを。
王子が生きていて、今まさに姫巫女の忘れ形見と結ばれようとしていることを。
宰相だった男。
カラット王国の現国王のフーガは、執務室でほくそ笑んだ。
両親が早世し、早くに国王になった元王子を嵌めた。
この国は巫女さえいれば順風満帆。
なのに、巫女に頼らなくてもいい政治をしようと言う。
仕事が出来ることも気に入らない。
私の仕事がない!
まるで私が無能ではないか!
私の元には富を失うこと、今更あくせくすることへの苛立ちを感じる貴族たちがついた。
こいつには失脚してもらおう。
王はいとこでもある姫巫女を自由にしたいようだ。
そして、あろうことか巫女の侍女である年上の男爵令嬢に気持ちがあるらしい。
王族らしく、気持ちに蓋をしているようだったが、これを使えないか、と考えた。
丁度、隣国の王が姫巫女に横恋慕していた。
姫巫女が隣国に行ってしまえば、この国は衰退する。
巫女に頼らないと言った愚かさを噛みしめろ!
一時的に衰退しても、それを理由に奴を引きずりおろせる。
王の恋を後押しし、男爵令嬢は妃になり、姫巫女と円満に婚約解消したのだが、国民はそうは思わない。
隣国の王の目論見とは違ったが、姫巫女は隣国の男に惚れて他国へ行った。
だがそれは、追放されたかのように映った。
国が衰退する程に不満はたまり、まんまと奴らを殺した。
王子は逃がしたが生き延びてはいまい。
「くっくっ。あとは姫巫女を取り返して、と。夫も死んだようだし、国民が困っていると言えば助けてくれるだろう。」
隣国には貸せとは言ったが、元々うちのものだ。
…………しかし、愚かな国民よ。今更、旧王族を偲んでも遅い。
ははははは!
彼は知らない。
姫巫女はとうに死んでいることを。
王子が生きていて、今まさに姫巫女の忘れ形見と結ばれようとしていることを。
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