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ユリウス元王子と孤児のハル

僕もあなたと

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「私たちの結婚式はどうしようかな。」


帰りの馬車でユリウスさまとそんな話になった。

僕に身寄りはないし、ユリウスさまもそう。

しいて言えば、公爵夫妻や店のみんなが家族で、彼らが祝ってくれればそれでいいのだ。



「……ぼく。式、あげなくてもいいです。店のみんなが祝福してくれるだけで幸せです。」


「そうもいかないと思うぞ?ギルとサリーだって式を挙げるんだし、豪勢な式じゃなくても、結婚するにはどうせ教会で署名をするわけだから。」


それに、ハルのことはサリーとクララが飾り立てたがっているから、式を挙げないって言ったら猛反対すると思う。




「じゃあ、僕。お洋服ができたらすぐに式だけ挙げたいですっ。パーティのごはんはお店でみんなで食べましょう?僕、頑張って美味しいご飯作ります!」






冬にはギルさんとサリーさんが結婚式を挙げて、次の春。僕たちは結婚式を挙げた。

「おめでとう!ハルちゃん!」

「おめでとう!」

公爵夫夫も駆けつけてくれた。




あれから、ミルには会ってない。

たまに手紙が届くらしいけれど、ユリウスさまが処分しているのを知っている。

哀しいけれど、そういうことなんだ。


街をさまよっていた汚い僕だったけど、ユリウスさまが見つけてくださって、こんなに幸せになれた。

王子と男爵令息、交わるはずのなかった僕たち。

どこで何があるか人生は分からない。




街にいっぱいいた孤児や浮浪児たちは、全員どこかの修道院が保護して、手に職をつけ、どこかの工房で働き始めている。

僕だけじゃなくて、困っている子が幸せになってくれて嬉しい。

僕も、ユリウスさまのためにできること。


一緒に頑張っていきたい。





「ハルちゃあん、いよいよねっ。」

「頑張るんでしょう?しょや。」


「クララさん!サリーさん!!」


「もう、真っ赤になっちゃって可愛い~。」


うん、頑張ることは頑張るよ!

2人からエッチな下着ももらったんだもの!


「おい、クララ。相変わらず明け透けだな。」

「あらもぉ、ジョシュアたんったらぁ、でもそんな私もすき、でしょ?」



ジョシュアさんがユリウスさまに抱いていた気持ちが何だったのかは分からないけど、いつの間にかクララさんはジョシュアさんを捕まえていた。

8歳くらいジョシュアさんが年下だけど、うまくやっているみたい。



「おい、いい加減私の花嫁を返してもらおうか。」

ぐっと旦那様に引き寄せられた。




しょや、がんばるからね。





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この章はここでおしまいです。

番外編のR18詰め合わせが続きます。
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