大型犬系部下はツン猫系隊長の虜。～陰謀で殺されかけた王子は、復讐を為して愛する部下の腕の中で眠る。～

ユリウス元王子と孤児のハル

いない

「ただいまー。」

ギルと一緒に閉店後の店に入ると、店内の雰囲気は暗かった。


なにがあった？


「申し訳、ありませんっ！」

「ごめんなさい！」

ケントが土下座をし、皆が頭を下げる。

「これ……っ。」
クララのメイクは涙で崩れ、クッキーと手紙を持ってきた。


「あの子………ハルちゃんがうちを出ちゃった！」




帳簿から、お金を盗んだ者がいる疑いが出た時、ジョシュアがハルを浮浪児だと言い出して、疑うような流れになってしまった。

2階で聞いてしまったハルは、書き置きを残して家を………。

「申し訳ありません。私が、売り上げを誤魔化したのは自分だと、名乗りを上げればよかったのです！」

涙ながらにケントは訴える。

ケントの息子は重い心臓の病で、高額な医療費を必要としていた。
だから、長年の忠臣の気の迷いに様子を窺っていたのが悪かった。

「ごめんなさい。俺、あいつに嫉妬してた。辛い思いをしているのは俺もなのに、なんでハルだけって。」

あまり感情をださないジョシュアがはらはら泣いた。



「あの子は行くところがない。まだその辺りにいるはずだ！」


皆で、町に飛び出した。