大型犬系部下はツン猫系隊長の虜。～陰謀で殺されかけた王子は、復讐を為して愛する部下の腕の中で眠る。～

手の届かない人

てきぱきと騎士に指揮をする隊長は、本当に王者の風格がある。

眩しい。

だけど、自分の手に届かない人になってしまった。

彼は王になるのだ。きっと。正統な王子なんだから。



どうしよう、泣きそう。


でももし、そうなったら…。
俺は、この人に忠誠を誓おう。この人の騎士になろう。



「アレックス＝ティス＝ブルーローズ殿下。」



大司教が高らかに宣言する。



「この方こそ、毒殺された本当のグレイス＝ティス＝ブルーローズ陛下とサンディ妃殿下との間に生まれた唯一の子、アレックス殿下である。聖国国王であり大司教である、この盟友クロス＝ホーリー＝ゴシックが証人である！偽りの王と悪の妃が廃され、この国はこれから豊かになるだろう！」


父の幼馴染で親友で盟友であった大司教は、アレックスの肩を支えた。




わっと会場が沸く。



その様子、一部始終を見ていたユリウスは、さっと会場を後にした。






ユリウスは両親が嫌いだった。

馬鹿で言いなりの父、外面が良い毒親の母。

自分も今まで通りにはいかないかもしれないが、いっそせいせいした。