上 下
14 / 48

何が起こってるんだ?隊長が王子?

しおりを挟む
目の前で繰り広げられる会話に、内心、ハワードはついて行けなかった。

しかし、
陛下が本当は亡くなったはずの王弟で、隊長が本当の陛下と妃の息子―――王子だということは分かる。

そして、この人たちに殺されかけたということも。



「邪魔ね、邪魔だわっ!」



王妃と呼ぶのも忌々しい毒女が、隠し持った短剣を大司教に向けた。



「全くもう!後で詳しく教えて下さいよ!」

隊長を背に隠して、短剣を蹴り上げる。


短剣が床に落ちる音で、夜会の参加者が全員こちらに気づき、集まってきた。

この場所は参加者からは死角になる場所だが、こうなっては丸見えだ。

本来、陛下たちを守るために侍っていた王宮の騎士たちは、頭がついてこないのだろう。
目の前で起きた王妃の振る舞いに狼狽えている。

「愚かな。この場で私を口封じしようなど。」

「ううっ、うーっ!」


王妃は髪を振り乱し、鬼の形相になった。


さあ、仕上げをしようか。


チクッ。




「は!な、なんだ。これは。」


サイレンサー付きの銃で、ステンシルが仕事をした。

みんなの仇をとろう、ステンシル。



「死亡診断書にあった、我が父に盛られた毒と同じものですよ。」


「ひっ!ル、ルビー!げ、解毒剤を!あるんだろう、君が持ってきた毒なんだから!」

「貴方っ!この、出来損ない!」

周囲がざわめく。



「……私が三歳の時、貴方は母を連れて行った。母が欲しかったのでしょう。なんで、母は死んだのですか……。」

「わっ、私じゃない!サンディは私がグレイスじゃないことに気づいた!だから、ルビーが口封じに……!侍女と一緒にっ!私は、私も、愛していたんだ!」


目を伏せる。


「ありがとう。それは毒ではありません。自白剤です。」

ふっと、背中に暖かいものを感じる。


ハワードが抱きしめてくれている。



「何をしている!早くこの二人を縛り上げろ。この二人は陛下妃殿下ではない。兄である陛下を殺し、成り代わった者達だ!サンディ妃と侍女バーバラの殺害、本当の王子である私の殺害未遂、そして大司教の殺害未遂!アレックス=ティス=ブルーローズが命ずる!」



騎士が動き、二人は連行されていった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕と小林くんの純情で猿並みなせいかつ

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:62

快楽拷問は少年を甘く悶え狂わせる

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:29

Golden Spice

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:21

あさおねっ ~朝起きたらおねしょ幼女になっていた件~

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:198pt お気に入り:105

お爺様の贈り物

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:184pt お気に入り:1,365

【完結】ぎゅって抱っこして

BL / 完結 24h.ポイント:511pt お気に入り:1,497

裏切りの代償

恋愛 / 完結 24h.ポイント:369pt お気に入り:1,391

処理中です...