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夜会は魔物がひしめく戦場

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「まぁ、ハワード=ウルフ伯爵令息よ。久しぶりねぇ。」

「隣の殿方はどなたかしら?見慣れない方…。」


夜会に行くと、視線を感じる。

「お前、結構モテるんだな。ハワード。」

「妬いてくれます?」

「私だってモテるんだからなっ。」



隊長は今日は、黒のコートとウエストコート、トラウザーズに白いドレスシャツ、青いブローチをつけていて、貴公子然としている。

だが普段を知っている身としては、かわいい黒猫ちゃんにしか見えない…。

その証拠に、さっきから隊長を見る男の視線がすごい。

モテるって、男にばっかりモテるのかよ。


俺は、アイボリーのコートとウエストコートに白のシャツで緑のブローチだ。
隊長の瞳の緑なんですけど、気づいてないですよねぇ?




「やあ。久しぶり。」




目の前にフッと、キラキラした高身長イケメンが現れた。

この国の王太子、ユリウス殿下。



「相変わらず綺麗だね、公爵。君の前にはどんな美女も女神も霞むよ。」

「お戯れを。殿下は将来国王になられるのでしょうから、御子を産める令嬢とお話をされてください。こんな無粋な男と話をするものではないですよ。」


「相変わらず手厳しいねえ。でも、どうせ僕の相手は母上が決めてしまうんだろうからね。令嬢のことを好きになってもめんどくさいだけさ。ねえ、いいでしょう?騎士は戦場でって聞いてるよ?」

「発散したいのでしたら、高級娼婦をお呼びください。」


なんだこれ。

この王子、隊長とやりたいだけじゃないか。

思わず、ぐっと隊長の腰を掴み、自分に寄せる。


「恐れ入りますが、隊長はもう私のものですので。」


目の前の王子が目を丸くする。



「プっ、分かったよ。私も他人のものを奪う程無粋じゃないよ。じゃあ、その彼に飽きたら、私のこと考えといてよね。」



王子がいなくなる。








「は~~~~~~~~~~~~~!」

変な汗出た。


「ふふ、ハワード。ありがとう、助かったよ。」

「というか、周り、あなたとやりたい男だらけじゃないですか。もしかして騎士団の上層部もそうなんですか。」

「そうだよ。もう、躱すのが大変でね。」


美人って罪だよね。




ハワードと雑談をしながら、アレックスは陛下の動きを注視していた。

妃を伴って、聖国の大司教に近づいていく。



「ハワード、私たちも陛下にご挨拶をしよう。」

「え、ちょっと…。」
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