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ステンシルは見守っている

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「全くもう、書類仕事が溜まってるじゃないか。昨日初めての闘いだったから疲れているのか?」


「すみません。」


ウルフ君は体を動かすのは得意だが、頭を働かすのは苦手のようで、書類仕事の手際は悪い様だ。


「一度、顔を洗ってこい。」


隊長に叱られて、お手洗いに行くらしい。



彼が席を立った後。

隊長は、彼の机の上の書類を眺めては、元のように戻す。
そして、つつーと、私のところへやってきた。



「すまん、ステンシル。しばらくアイツと君の仕事の量を減らして、私に回してくれ。その代わり、仕事のやり方をあいつにしこんでやってくれないか?」


「畏まりました。アレックス様。」



全く素直じゃないんですから。

気づかれないようにやったかもしれないですけど、それ、あの子にバレますからね。すぐ。
意外とウルフ君は勘が良い。




かつて北の森にたった一人捨てられて、生死をかけたサバイバルの末に生き残った側妃腹の王子。

それがアレックス=タイガーの正体だ。

国王が一番溺愛していた立場の弱い側妃が王子を産んだことは秘密だったから、誰も知らない。


そして、私は最後までアレックスのお世話をしていた侍女の息子。



本当は誰より、素晴らしい資質がおありだったのに、と。

今でも残念に思うが、タイガー公爵位を得て、この北の砦で幸せに穏やかに暮らしていけるのならそれでいい。


彼には友人もいなかったから、ウルフ君がそうなってくれたらと、願ってやまない。


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