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お気に入りの子犬
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今年の入団者の成績表や身上書が都から送られてきて、私のファンだというウルフがなんとも可愛らしかったので、自分の補佐として採用することに決めた。
ノックして入ってきた、まだ子どものような顔をしたこの男は――デカい。
身長なんか2m近いんじゃないか?
茶色の短髪が犬の毛並みのようで、黄色に近い茶色の瞳も優し気で。
なかなかカッコいい。
大剣なんか持たせたら似合うだろうなぁ。
自分の体格では絶対に出来ない重装備だって、こいつなら大丈夫だろう。
いつも私は若く見られるから、タイガー隊長本人だと思わなかったらしい。
目の前で私を褒めるものだから、お気に入りのお茶でも出してやろうかと思ったのに、ステンシルが出てくるから、私が隊長だとばれてしまった。
私のことをちんちくりんだとぉぉぉ――――――――!?
お前がデカすぎるんじゃあああ!!!!!!!!!
もう、三回回ってワンって言うまで、許してあげない!
1週間経って、森に魔獣が出没した。
スノーベアーの群れだ。
砦の者を集めて役割分担をし、私はウルフとステンシルを連れて先陣を切る。
私の凄さをようやく理解してくれたようだ。
バツがわるそうなウルフ。
でも、まあお前も初めてにしては上出来な戦いだった。
褒めてやると、頬を真っ赤に染めて。愛い奴め。
砦に戻って、ウルフが腕を怪我していたのに気付いたので、執務室で手当てをしてやった。
うーん。
包帯がすぐなくなる。
腕がたくましい。腕周りが太い。
「たくましい腕…。いいなあ………。」
「えっ。」
あっ、声に出ていた。
ウルフが驚いたように私を見ていた。
「いや、男なら憧れるだろう!お前みたいな体格に!!だが私には無理だったのだ。鍛えても筋肉はつかなくて…。」
「それでも、筋肉ある俺より強いじゃないですか。隊長はすごいです。」
純粋な、キラキラした瞳。
「褒められるのは、悪い気はしない。」
「どうやったら隊長みたいに強くなれますかね…。」
その問いには答えられなかった。
生きるか死ぬか、戦わなければ殺されるような環境にあったからなど、この純粋な若者に言えるわけがない。
ノックして入ってきた、まだ子どものような顔をしたこの男は――デカい。
身長なんか2m近いんじゃないか?
茶色の短髪が犬の毛並みのようで、黄色に近い茶色の瞳も優し気で。
なかなかカッコいい。
大剣なんか持たせたら似合うだろうなぁ。
自分の体格では絶対に出来ない重装備だって、こいつなら大丈夫だろう。
いつも私は若く見られるから、タイガー隊長本人だと思わなかったらしい。
目の前で私を褒めるものだから、お気に入りのお茶でも出してやろうかと思ったのに、ステンシルが出てくるから、私が隊長だとばれてしまった。
私のことをちんちくりんだとぉぉぉ――――――――!?
お前がデカすぎるんじゃあああ!!!!!!!!!
もう、三回回ってワンって言うまで、許してあげない!
1週間経って、森に魔獣が出没した。
スノーベアーの群れだ。
砦の者を集めて役割分担をし、私はウルフとステンシルを連れて先陣を切る。
私の凄さをようやく理解してくれたようだ。
バツがわるそうなウルフ。
でも、まあお前も初めてにしては上出来な戦いだった。
褒めてやると、頬を真っ赤に染めて。愛い奴め。
砦に戻って、ウルフが腕を怪我していたのに気付いたので、執務室で手当てをしてやった。
うーん。
包帯がすぐなくなる。
腕がたくましい。腕周りが太い。
「たくましい腕…。いいなあ………。」
「えっ。」
あっ、声に出ていた。
ウルフが驚いたように私を見ていた。
「いや、男なら憧れるだろう!お前みたいな体格に!!だが私には無理だったのだ。鍛えても筋肉はつかなくて…。」
「それでも、筋肉ある俺より強いじゃないですか。隊長はすごいです。」
純粋な、キラキラした瞳。
「褒められるのは、悪い気はしない。」
「どうやったら隊長みたいに強くなれますかね…。」
その問いには答えられなかった。
生きるか死ぬか、戦わなければ殺されるような環境にあったからなど、この純粋な若者に言えるわけがない。
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