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騎士学校を卒業したての俺は、憧れの人の部下になる
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俺の名前はハワード=ウルフ。
ウルフ伯爵家の三男坊で、この春騎士学校を卒業し、めでたく騎士団に入団が決まった。
頭はそれほど良くもないけど、デカくて丈夫な体に産んでもらえたことに感謝だ。
騎士学校で優秀な成績を修めることができたから、憧れの人の部署に配属が決まった。
ここ、ブルーローズ王国は北の大陸にあり、酪農や農業が盛んで、美味しい魚介類もよく採れるが、冬は港が凍結されるため交易は厳しい。
だが、その一方でその過酷な環境ゆえに、広大な大地の殆どは手つかずのままだ。
そのため、国の周りを囲む森からのモンスターの侵入は常に頭が痛いところで、栄光ある我が騎士団が日々国民をお守りしているというわけである。
なお、平和ボケしている他国の騎士と違って、我が国の騎士団は騎士も多いが、質も高い!
その中でも、最も危険と言われる北の森の防衛を一手に任されているのが、アレックス=タイガー様だ!
入団三年目にして隊長に抜擢されたタイガー隊長!
容姿端麗、頭脳明晰、次期剣聖と言われる素晴らしい人。そんな人の部下にこの俺が配属されるなんて!
きっと、身長もすげー高くて、こう、精悍な男前で、落ち着きのある感じで、胸板も二の腕も筋肉ですごいんだろうなぁ。
雪の降る山道をひたすら上り、やっと北の砦に着いた俺は、ドキドキしながら隊長の部屋をノックした。
「ハワード=ウルフ!本日付で北の砦、隊長の補佐として着任しましたっ!」
「入れ。」
澄んだような、凛とした声にドアノブを回すと、そこには、ちんちくりんの綺麗な顔をしたガキが一人、座っている。上着は脱いでいるが、シャツとズボンを見るに、同じ騎士ではあるようだ。
「なんだ、タイガー隊長はいないのか。」
キョロキョロ見回してそう呟くと、小柄な男はじっと俺を見た。
書類のチェックをしていたらしい。
小柄だし、若そうだし、俺と同じくらいか。
きっと、騎士団の事務で採用された同期だろう。
「君は、今日から隊長の補佐?」
「あぁ、隊長はすごいよなあ。若くして隊長だろう!憧れるぜ。」
「そうか。そうだ、お茶くらい出そうか。」
「やあ、いい。いい!それより、タイガー隊長ってどんな人なのかなぁ。身長はぐぁーっと高くて、がっしりして、こう、いかにも強そうな感じなんじゃないかって思うんだけど!」
「…………。」
ノックがあり、中に先輩の騎士が入ってくる。
「ああ、もうウルフ君、いた!隊長に挨拶終わったなら早く戻りなさい。仕事の説明があるんだから。」
「いや、隊長は部屋にいらっしゃらなくて――――」
「何を言っているんだ?いらっしゃるだろう?そこに。」
は??
こほんと咳払いして、小柄な男が上着を羽織り、俺の前に立つ。
上着には、勲章がたくさんぶら下がっている。
「私がアレックス=タイガーだ。これからよろしく頼む。」
透き通るような肌、大きくてくりくりっと吊り目がちの緑の瞳。艶やかな黒髪。ちょっと猫っぽい美形で、舞台役者にキャアキャアしているような女の子にウケは良さそう。
小柄で、腕も細くて、俺がすっぽり包めてしまうような――――こいつが??
「また、なんかの冗談でしょ?こんなにちっさいのに…
「小さくて悪かったな?だが、俺の身長は標準だ!騎士がデカいだけだ!175はあるんだ!190越えてるお前が高すぎるだけだから!」
頬を膨らませて、ツン、とそっぽを向く。
「ステンシル、ウルフをよぉぉぉぉぉく鍛えておくように!まずは、砦中の掃除!一人でなっ!」
理不尽!
ステンシル先輩があーあ、と俺を見た。
これが、俺と隊長のファースト・コンタクト。
ウルフ伯爵家の三男坊で、この春騎士学校を卒業し、めでたく騎士団に入団が決まった。
頭はそれほど良くもないけど、デカくて丈夫な体に産んでもらえたことに感謝だ。
騎士学校で優秀な成績を修めることができたから、憧れの人の部署に配属が決まった。
ここ、ブルーローズ王国は北の大陸にあり、酪農や農業が盛んで、美味しい魚介類もよく採れるが、冬は港が凍結されるため交易は厳しい。
だが、その一方でその過酷な環境ゆえに、広大な大地の殆どは手つかずのままだ。
そのため、国の周りを囲む森からのモンスターの侵入は常に頭が痛いところで、栄光ある我が騎士団が日々国民をお守りしているというわけである。
なお、平和ボケしている他国の騎士と違って、我が国の騎士団は騎士も多いが、質も高い!
その中でも、最も危険と言われる北の森の防衛を一手に任されているのが、アレックス=タイガー様だ!
入団三年目にして隊長に抜擢されたタイガー隊長!
容姿端麗、頭脳明晰、次期剣聖と言われる素晴らしい人。そんな人の部下にこの俺が配属されるなんて!
きっと、身長もすげー高くて、こう、精悍な男前で、落ち着きのある感じで、胸板も二の腕も筋肉ですごいんだろうなぁ。
雪の降る山道をひたすら上り、やっと北の砦に着いた俺は、ドキドキしながら隊長の部屋をノックした。
「ハワード=ウルフ!本日付で北の砦、隊長の補佐として着任しましたっ!」
「入れ。」
澄んだような、凛とした声にドアノブを回すと、そこには、ちんちくりんの綺麗な顔をしたガキが一人、座っている。上着は脱いでいるが、シャツとズボンを見るに、同じ騎士ではあるようだ。
「なんだ、タイガー隊長はいないのか。」
キョロキョロ見回してそう呟くと、小柄な男はじっと俺を見た。
書類のチェックをしていたらしい。
小柄だし、若そうだし、俺と同じくらいか。
きっと、騎士団の事務で採用された同期だろう。
「君は、今日から隊長の補佐?」
「あぁ、隊長はすごいよなあ。若くして隊長だろう!憧れるぜ。」
「そうか。そうだ、お茶くらい出そうか。」
「やあ、いい。いい!それより、タイガー隊長ってどんな人なのかなぁ。身長はぐぁーっと高くて、がっしりして、こう、いかにも強そうな感じなんじゃないかって思うんだけど!」
「…………。」
ノックがあり、中に先輩の騎士が入ってくる。
「ああ、もうウルフ君、いた!隊長に挨拶終わったなら早く戻りなさい。仕事の説明があるんだから。」
「いや、隊長は部屋にいらっしゃらなくて――――」
「何を言っているんだ?いらっしゃるだろう?そこに。」
は??
こほんと咳払いして、小柄な男が上着を羽織り、俺の前に立つ。
上着には、勲章がたくさんぶら下がっている。
「私がアレックス=タイガーだ。これからよろしく頼む。」
透き通るような肌、大きくてくりくりっと吊り目がちの緑の瞳。艶やかな黒髪。ちょっと猫っぽい美形で、舞台役者にキャアキャアしているような女の子にウケは良さそう。
小柄で、腕も細くて、俺がすっぽり包めてしまうような――――こいつが??
「また、なんかの冗談でしょ?こんなにちっさいのに…
「小さくて悪かったな?だが、俺の身長は標準だ!騎士がデカいだけだ!175はあるんだ!190越えてるお前が高すぎるだけだから!」
頬を膨らませて、ツン、とそっぽを向く。
「ステンシル、ウルフをよぉぉぉぉぉく鍛えておくように!まずは、砦中の掃除!一人でなっ!」
理不尽!
ステンシル先輩があーあ、と俺を見た。
これが、俺と隊長のファースト・コンタクト。
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