人魚姫は復讐する~婚約破棄してくれてありがとうございます~

竜鳴躍

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マジック王国で

【完結】エンディング

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カヌレ王国では、王妃が王のそばにたたずんでいた。

「ねえ、あなた。子どもは神様からの贈り物。必ず何人も男の子が生まれる保証はないわ。それに、トールの性格であれば、側妃は設けないでしょう。もし、一人しか男の子が生まれないか、子どもが産まれなかったらどうするか。そのことも、向こうへのお手紙に書いておくべきじゃないかしら。」

「…ああ、そうだな。さすが我が妃。そうしたほうが我々の誠意も向こうに伝わるだろう。こちらは絶縁されているわけだしな。」


王は、さらさらと文書にこう付け加えた。


『もし、叶わない場合は、我が国を帰国と併合してもらえないだろうか。』


「まあ、こう書いても、あれだけ仲良しなら大丈夫だろう。トールもマリーンも若く健康だ。」



「そうね。」

王妃は悲しそうに、目線を落とした。長い袖の中には。


「………ぐっ!な、なにをっ!」


「私の大切なリチャードの仇よ!」

王妃の目には深い悲しみが宿っていた。

「カヌレの正妃は結婚の儀で契約魔法が施される!けして夫に逆らわず、夫の意に沿って支えなければならない契約が!だけどね、あなた。ご存じかしら。あまりに深い悲しみは、魔法を解くのよ?」


あなたは馬鹿なの?

体の弱いあの子に薬を使うなんて。

子どもができるまで頑張れと、二人を閉じ込めるなんて。

あの子が死んだのはあなたのせいよ!



「……あの子の亡骸を見て。私はおかしいって思ったわ。二人それなりに時間をかけて歩み寄って、暮らしているものだとばかり思っていたのに。私はいつだってなにも詳しいことは聞かされないもの!」


「ぐっ、ぐはああ!やめ、や。…あ。」

王をめった刺しにし、血濡れになってこと切れ、床に倒れた王を見た王妃は。

ふふふ、と力なく笑い。そして、自分も息を引き取った。









マジック王国では、奇跡が起きていた。

「マリーン、マリーン!」

トールの涙が、マリーンの口の中に零れる。


すると、ぱあっと体が光り。

泡になっていた体がすっかりもとに戻っていった。

「……トール?」


「よかった、マリーン!」



「トールのお母様は、聖女だったと聞くよ。きっと、トールも力をいくらか受け継いでいたんだね。本当に良かった…。」

キシリトール殿下も、目を潤ませ、その体は騎士団長が支えていた。



その後、カヌレ王国はマジック王国に吸収される形で併合となった。

王となったトールと王妃になったマリーンの間には、二人の王子と姫が生まれ、二人はどの子にも平等にしっかりとした教育を施した結果、立派に育った。

王太子になった王子には、キシリトール殿下と騎士団長の娘が嫁ぎ、末永く幸せに暮らしたのだった。
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