人魚姫は復讐する~婚約破棄してくれてありがとうございます~

竜鳴躍

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マジック王国で

待ちかねていた結婚式

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海の色のような青の上着にヴェールを垂らして、ようやく僕とトールは結婚式を挙げた。

式には、キシリトール殿下と騎士団長の二人も参列してくださって、両親や優しい陛下妃殿下に見守られ、幸せな結婚式になった。



「……殿下っ、しょや、本当に僕大丈夫でしょうか…。」

「大丈夫、旦那様にリードしてもらえばいいの。勇気を出して、裸をさらけ出せばそれでいいの。」

「俺は、お前にリードしてもらうのもいいけどな~。」

ぺち、と騎士団長がはたかれる。



よくわからないけど、トールを信じて身を任すことにした。




ベッドの上でちょこんと座って。

トールを待つ。


侍女のみなさんがきれいにしてくれたから、臭くないと思うけど大丈夫かなあ。

僕の体、どこかおかしいところないかしら。


でも今更あがいても、もうトールはきちゃうし。

少しだけ、ちょっとだけ、ランプの明かりを小さくしよう。



腰をあげて、ランプを調整していると、声が聞こえた。


「マリン、何をやってるの?」


お尻をトールに突き出しているような格好になっている。


「はっ、恥ずかしいからランプの明かりをもう少し抑えたいと思って…。」


「俺はマリーンが誘ってるのかと思った。」


くくく、と笑っている。


もう、意地悪!


「灯りはそのままでも。俺はマリーンのすべてが見たいけどな。」

「はずかしいよお。」


トールは勢いよく服を脱いで素っ裸になった。


筋骨隆々、というわけではないけど。絞まっていて均整の取れた体。最近、剣の練習を始めて、少しずつ筋肉がついてきたみたい。


「ほら、俺も素っ裸。いいじゃん、恥ずかしくないよ。おなじおなじ。」

「僕、トールみたいに逞しくないもの。」

「マリーンはつきにくいだけだよ。でもスラリとして綺麗な体だよ。」


「ほんと?」

「うん。大好きなマリーン。俺に全てを頂戴?だいぶ、待ったんだよ?」


「……うん。僕もトールのものにしてほしい。」



勇気を出して、服を脱ぐ。

ころん、とベッドに横になって。


「き、きて!!」

恥ずかしいからじろじろ見ないで。

抱きしめてほしい。


「…うん。」


トールは抱きしめて。

口づけをしながら、手が、指が。お尻の穴に。


ぷつ。


「! 」


「いたい?ごめんね。ゆっくり、するからね。」


一本、なじんだら二本、と増えていく。

ぐにゅ、と中をおされて。

「ひゃう!」変な声が出た。


「あ、ああっ。」

「感じちゃう?よかった。そこ、なんだね。」

ソコを執拗に弄られ、三本目が入る。


「ああ、ああ、ああんなにこれええ」


指が全部抜かれて、さびしい。


「ああ…、もっと。」


「今から、繋がるから。俺と。もっと奥まで、入れてあげるね。」


いつのまにか彼のものは大きくなっていて。

ピンと固く立ち上がっていて。


お互いに上気した顔で、とろんと体を重ねる。


「うん……!」


中へ、もっと
もっと奥。


目が覚めたら、ものすごく恥ずかしくて。

でも、幸せで。うれしくて。


甘い痛みを感じた。












「カヌレ陛下。リチャード様が今朝方お亡くなりになりました。」

カヌレ王国では、医師の報告を王、王妃が受けていた。

病弱で体の弱いリチャード。王としての資質に欠ける彼と、問題のある妃。

彼を王太子にすることもできず、かといってトールに捨てられた彼らは、ビビアンに薬を持たせて、無理にでも彼らに子づくりをさせていた。


しかし、ついぞ子どもができないまま、リチャードは死んでしまった。

腹上死である。


「ビビアンは…?」

「王子のことを役立たずと罵っていました。今は鎮静剤で眠らせています。」


「あなた…。後継者がいなくなってしまったわ…。」

「最近、トールもマリーンと式をあげたらしい。何人か産んでもらって、一人こっちにいただけないか交渉してみようと思う。」


勝手な提案。

それをビビアンが聞きつけないはずはないのに。

彼がどう思うか想像できない。

それが、どういう惨事を招くのかも。


この王が、一番のポンコツだった。
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