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恋人たちの夜

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「アーサー、帰る。公爵とジョシュアンさんもありがとうございます。お世話になりました。」

スミスとケニーを見送って、俺たちも公爵家を後にする。

ニッコリ微笑む公爵の肩には、ジョシュアンさんの手が優しく乗っている。

2人の距離感が近くなって、嬉しい。


「いいよ。シュヴァイツァー王国は隣国といえど遠いし、うちを実家と思って、いつでも遊びにおいで。ここなら城から近いしね。」

公爵ぅ~~~~。


公爵が王位を望まれていたのも、分かる気がする。




きっと2人は今夜結ばれるだろう。



じゃあ、俺たちも?



繋ぐ手に熱がこもり、アーサーを見る。



いっぱい愛し合って、王子を2人は産みたいな。


そうしたら、1人は。




子どもが出来たら、里帰りはここにこよう。

お母さまと公爵はきっと二人で赤ちゃんを可愛がってくれる。


俺にとって公爵は、第二の母親みたいなものだ。






「いきましたね。」

「いきましたねぇ。」


公爵とジョシュアンは深いキスをする。

くちゅくちゅと舌を絡め、キスってこんなに息苦しいものだと知る。

ぷつぷつとジョシュアンがシャツのボタンを外していくので、胸を手で押した。

「どうしたんです?激しく奪われたいのでしょう?私の描いたエロ漫画のように。」

「それはそう………だけど。湯浴みを先にしよ?」

「私は今ほしいです。」

「くさいし………」

「臭くないですよ?」

「加齢臭が気になるの!一緒にお風呂!ね?」

「仕方ないですね。明るいところで肌を見せてくれるんですね。」

「お腹にお肉ついてても、言わないでよ?」

「お肉があっても気にしません。」


使用人たちはやっときた2人の春に、身を潜める。

夜はまだ始まったばかり。
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