俺がお前を王にしてやる―隠れオメガクイーンは勇者様―

竜鳴躍

文字の大きさ
上 下
52 / 78

初夜です、初夜だったんです。

しおりを挟む
ムダ毛なし!

どこにも隙は無し!


俺は風呂場で手鏡を持ちながら自分で自分の体をチェックする。


―――――今日こそは


男らしく!


完璧に!


抱かれてみせる!



大体俺だって同じものついてるんだ。
サイズは小ぶりかもしれないけど、ちゃんと男性機能だってある。

男がどうやれば快感を得られるか、よく分かってる。


このデリケートな花芯を俺の体の奥まで引き込んで、腹筋とか肛門括約筋使ってきゅっきゅっきゅって緩急漬けながら適度に絞めつけていけばいいんだろ!

ぎゅーってしすぎると痛いからな。



待ってろよ!アーサー。

今夜こそお前のアーサーを俺の中で暴れさせてやるぜ!





ドキドキしながら俺は寝室に入り、内扉からアーサーが来るのを期待しながら紐パンのスケスケつけて布団をかぶって待機していた。

季節は冬。

ふっかふかのおふとん…。

あったかぁい…。









(1,3,5,7…)

素数を数えながら寝室へ向かう。

会議が長引き、だいぶ遅くなってしまった。


(まずは風呂に入って…。それから。風呂場で無駄打ちしないようにしないと…。)


……ん?


月明りの下。

長い長い廊下の窓辺に騎士団で事務長をしているスミスがいる。

スミスは亡き母の実家であるスワン公爵家の次男。

当主であるルイード様には長男で次期当主で宰相に就任したばかりのエアロと家を継がないため騎士団へ入ったスミスがいた。

すっかりイスリスと側妃のせいでスワン公爵家とは疎遠になってしまっていたが、従弟にあたる。
当主のルイードもエアロもスミスも黒髪だ。
どことなく幼い日にみた自分の母親の面影がある。



「まだ残っていたんですか。従兄弟といえどここは王族のプライベートエリアが近い。気を付けてください。」


「あっ!すみません…。」

スミスは眼鏡を外し、それをふいた。

その瞳には涙が浮かんでいる。

潤んだ瞳はアーサーを見た。









「うわ、やばい。寝ちゃってたわ。」

ばっと布団から飛び起きる。


部屋は暗く、アーサーが来た気配がない。


(ううむ。またアーサーは仕事が忙しいのか。こんなに帰れないくらいならもう少し仕事を振ってくれたらいいのに。仕方ない、手伝ってくるか。)

スケスケの衣類では肌寒いので、上からコートを羽織る。

はしたないかもしれないが、まあ大丈夫でしょう!


(それに…もしかしたら執務室で事に及ぶことになるかもしれないし…。)フフッ。


護衛や侍従に気付かれないように気配を完全に消して、廊下へ出る。

勇者として鍛えたスキルの無駄遣いである。



「…………。」
「…。」


人気のない廊下で話声が聞こえる。

何か内緒話をしているような…。



「……――――――あ。」

そこにいたのは、アーサーと。
確かアーサーの従弟で騎士団事務長のスミス。





俺は部屋に戻って、寝た。

アーサーは来なかった。





信じてる。

信じてるけど。



「夕べはごめん。仕事が長引いちゃって。」


どうしてそんなウソつくんだ、正直に言えよ。


「いいよ。今忙しいんだったら………。その、もう少し先でも。」


「ありがとう。」




ばか。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!

小池 月
BL
 男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。  それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。  ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。  ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。 ★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★ 性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪ 11月27日完結しました✨✨ ありがとうございました☆

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...