俺がお前を王にしてやる―隠れオメガクイーンは勇者様―

我が店に王太子妃様ご来店

ざわっ。



平和な王都の街が今日はざわついている。


理由はただ一つ。


王太子妃になったローゼ様が市井に出ているからだ。


髪や目の色を変えたって、その圧倒的なフェロモンで気づかないはずがない。

そもそも、顔は同じなのだし。


今までフェロモンを止める薬を常用していたからか、フェロモンを垂れ流していることに全く気付いていないらしい。

街行く人たちは、気づいていないふりをキメているが、ついつい見てしまうようだ。




きっと、息抜きだな。

前は街に住んでいたんだし、買い食いしたいものくらいあるだろう。



俺は、自分には関係ないと店番をしながら食べる予定のベーグルの包みを抱えて路地裏へ入った。



俺の店はアダルトグッズを各種取り押さえている大人の店だ。

こういう店だから、スキモノのカップルや娼館のオーナーが買いに来るが、人目を避ける立地が良いのだ。



いつものレジの席に腰掛け、紙袋を開いてベーグルにかぶりつくと、ガラっと扉が開いて、ローゼ様が入って来た。



う、うそだろ？？俺の店に！？

アダルトグッズを買いに来たのか！？


あの人が…？？？？




「あ、あの。〇ックリングが欲しいんですけど…。」


恥ずかしそうに伏し目がちに商品を指差す。




どっちが嵌めるのか！？

ローゼ様が受なのだから、ローゼ様が嵌められるのか？？


ふぉぉおおお！王家の夜の営みに俺の商品が！！！！

アダルトグッズ作家冥利に尽きる！


〇ックリングはサイズが分からないらしく、お買い上げいただけなかったが、
こけしみたいな形のはり型に、えっちな夜着に下着をご購入いただけた。



末代までの自慢にしよう！