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元家族たちの慟哭1

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「うぅぅ……。もう嫌よぉ!こんな生活ッ!」

マリエッタは与えられている一室で叫んだ。



ゆくゆくはタリスマン王国の王妃になれると思ったのに、お目当ての王子はポンコツだった。
おまけに女遊びが激しくて、知らないうちに性病が移っていたらしい。

よくわからない注射をされたと思ったら、まあ……治ったらしいけど。

そこだけはここでの生活に感謝してやってもいいのかもしれないけど。



肌はガサガサになるし、訳の分からない赤い斑点は出るし、もう最悪だった。


三食昼寝つきだし、重労働はないけど、治験だの体で払えだの言われてよくわからない薬を服用されたり、体に塗り込まれたりだし。


皮膚が痒くなって爛れたときはどうしようかと思ったわ。



でも今では、ツルツル素肌。



あの女、まあまあやる女だったようね。



こんなかわいい私がこんなところで一生を終えるなんて世界の損失じゃない?


「ねえ、ねえ、私……。貴方のこと、好きになっちゃった♡か・も♡」


見張りの騎士に色仕掛け♡

きっとこの人だって貴族よね♡

まあまあイケメンだし、貴方でいいわ♡




「………お前本当におめでたいなあ。賠償金を払い終わるまではここから出れないに決まってるだろう。誰がそんな罪人を妻にするんだ。いくら見た目がそこそこ可愛くてもお断りだ。お前、処女じゃないだろ?まともな貴族だったらそれだけで相手にしないのに、治ったとはいえ病気もちだったんじゃないか。やむを得ない事情があるとかならまだしも、お前の場合、ローザ様をとことんいじめて、イスリスとやらに自ら股を開いた結果だろ。」


「何よぉ!私は幸せになりたかっただけだもん!」


「お前の好きだったイスリスは、そもそも王家の子じゃなくて男娼の子だったらしいぞ。乗る相手を間違えたな。おまけに悪い奴に唆されて、クーデターを興して処刑された。オディール妃とその親も一緒だ。」


う、うそ……。もう、この世にいないってこと………?


「お前なんか嫁にしようってのは、大した男じゃないよ。この仕事じゃなければそれこそ高級娼婦にでもならなきゃ金は返せないだろうけど、お前じゃどうだろうな。ここにいた方がよっぽど幸せだ。それでも、ここから出たいっていうなら勉強することだ。ここの研究者は給金が高いらしいぞ。」



「でも、私なんか……。オメガだし、頭悪いし…。」


「決めつけるなよ。セーラ様だってすごい研究者だけどオメガだろ。」


やるだけやってみよう。

私が勉強を始めたいと言えば、セーラ様は家庭教師を派遣してくれた。
家庭教師と言っても、セーラ様の弟の奥さんが無償でやってくれるらしい。

ありがたい。


思えば、お兄様にお前にはできないって決めつけられてきたのだ。


私は私で幸せになろう。

ローゼがアーサー殿下と結婚するって聞いたけど、もはやどうでもよかった。
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