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もうすぐ結婚式

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俺とアーサーの結婚式の準備は着々と進む。


俺たちの婚約は世界中に公表されており、結婚式の招待状の返事が一つ一つ届いている。



「フローラ王国?」

アーサー宛に届いた封書を持って、向かう。

アーサーはその場でペーパーナイフを取り出すと、俺の前で手紙を読んだ。



「小さい頃、城のパーティでお会いしたことがある……。懐かしいな。」

「アンジュ=スノー=フローラ。でしたっけ。」



ヤキモチを妬くべきではないのは分かっているけれど、彼女は確か別の世界線ではアーサーの婚約者だったはずだ。
イスリスの王位簒奪やシュヴァイツァー王国との戦争があって破談になったが…。



「よく知っているね。」

そりゃあ、アーサーに関係することなら。


「何でも婚約のお祝いにこちらへ来るんだって。来週だ。王太子のお兄様と2人で来るみたいだ。」


「そうなんだ。しっかりもてなさないとな。」




なんだかモヤモヤする。

アーサーのことを信じていないわけじゃないけど。



科学と医療のシュヴァイツァーと、芸術文フローラ王国。

この世界の双璧だ。



アーサーが馬鹿にされないように、頑張らないとな。










「うふふ、今頃お手紙がついたころかしら。」

ストロベリーブロンドをなびかせて、大きな青い瞳のプリンセスがドレスを揺らしてほほ笑む。

「落ち着きなさい。来週なんてすぐだから。もう明日には船に乗るのだから早く寝なさい。」


「まったくもぅ、お兄さまったらぁ~。お兄様こそ、楽しみなんでしょう?勇者様に会えますものね。」

兄と呼ばれた男は紅茶を嗜みながらほほ笑んだ。


同じストロベリーブロンドを短く整えた、甘さがありながら知的な雰囲気の美男子だ。


「私、絶対にアーサー様をものにしてみせますわ。まだ婚約段階ですもの、今やらなきゃ。お兄様も勇者様を必ず手に入れてくださいまし。」


「分かってるよ。マイリトルエンジェル。」


空は少し荒れ模様。


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