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カルテ20:伝説の木の下で2

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あっという間に時間は過ぎて、構内は賑やかなまま夜の闇に包まれる。

「アヤ、ちょっと行きたいとこあるから。いこ?」

「あ、ああ。」



言うんだ。俺からアヤに。


花を咲かせなくなった桜の老木。

ここだけじゃなく、構内の桜はどこもあまり花を咲かさない。

そもそも今は秋だから、桜の時期じゃないけどね。


「見てて?」


木に触れて、力を込める。

ぽわ、と俺の躰が淡い光に包まれる。


木に力が宿り、そして満開の桜。

そしてそれは、構内中に広がる。


闇夜に広がる満開の夜桜。

「アヤ。俺、アヤが好き。俺の伴侶になって、島に来て下さい。」


アヤはどういう顔だろう。
照れたような。泣きそうな?


「俺も好きだ。結婚しよう。」

ふわっと抱きしめられると、いい匂いがした。


番だから、いい匂いなんだ。






突然咲き誇った満開の桜に写真を撮る学生たち。

その様子を見て、岐里は狐太郎を見た。


「狐太郎さま………」




「ああ。後継じゃ…………………」
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