ある日突然獣人化（小型犬）したら、仲が悪かった筈のライバルにお持ち帰りされて溺愛されています。

閑話：岐里と狐太郎２ R18

最初の妻とは仲良く暮らしていたし、ワシは妻を愛しく思っていた。

だが、ワシは年をとらぬ。
子はできず、妻は年をとる。

親族から妻が送られてくる。
若く健康で力のある、次男三男や娘たち。

こういうものです。しきたりですから。
ワシの身の回りを取り仕切る宮内庁が全て決めた。

『私はいいですから。気にしないで。』

最初の妻が笑わなくなった。


それから何人。

妻が来たが、誰も孕まなかった。

老いた妻はワシを置いて儚くなった。



何人も見送って、ワシは自分の子を諦めた。

神族同士はやはり確率が低い。
もしかしたら、ワシが出来ぬのかもしれん。

愛してもワシを置いて消える妻たち。
だが、宮内庁は変わらず定期的に妻を補充した。




「岐里と申します。旦那さま。」


面を上げた新しい妻を見てハッとなった。

最初の妻に面影のある、しっとりとした佇まい。
何も求めていない視線。

妻を大切にはしても抱くことなどなかったのに、祝言の後、床にあげた。


「……………っ、はぁ…………っ！旦那さま……っ」

若い妻は初めてを暴かれ、身を捩らせて耐える。
結ばれた唇を指で解き、口づけを落とした。

「旦那さまではなく、狐太郎と呼んでくれ。」

「…………こ、たろ  さま」


白濁を受け止め、気を失うように眠る岐里の素肌には赤が散る。



岐里と老いて、死にたい。


そう思った。