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カルテ6:島の秘密と風習と
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「猿田彦くん!これは運命なのだよ!どうか、受け入れてほしい!うちの子をよろしく頼む!」
「えっと…。あなた方はカミ島っていう日本の離れ小島の住人で、住人はみな神族だと。」
「そうなんです。うちの子の耳と尻尾を見たんでしょう?」
高級ホテルのレストランの個室。
馬鹿高そうなフルコースの後で、向かいの席に腰掛けた和装の二人が俺に頭を下げる。
頭いてぇ。受け入れがたい。
「ちょっと待って!俺、全然知らないんだけど!」
「うちは犬神の家系なのよ。狛犬とか、アヌビスとか。そのあたりかしら。神族だけではなかなか子ができないから外界から伴侶を探すのだけど、人間の血を多く継いだ場合は、島に帰ったとしても普通の人間として生活していく必要があるから、『島の真実』は神としての姿に変化できるようになってから口伝することになっているの。」
「私も大学生時代に玲於奈と出会って、結婚を機に移住したんだ。こちらの世界ではいられないから悩んだんだけど、結果的には妻を選んで…。」
「和文さんごめんなさい。私のために。」
「いいんだよ、ハニー。」
「……つまり、俺は人間じゃなかった?ってことなんだよね。」
「そうよ。私たちは自在に獣の姿にも半獣人の姿にも人の姿になれるけど、しばらくは不安定かもしれないの。だから、猿田彦さんにお願いをしたいのです。」
「お願い?」
「猿田彦くん。このことを知ったからには一蓮托生。初めての獣化に居合わせた人間が伴侶になるのです。どうか、どうかうちの子を幸せにしてあげてください!」
「はぁあ!!?俺がそいつの伴侶!!?」
「聞けば君は獣医の卵らしいですね。逃がしませんよ…。」
「はああああああああ!!!???」
「新居も用意しておいたので!二人仲良くね!!!!」
新しい家の場所と鍵を投げ渡し、二人は去っていった。
あれ?
これから猿田彦と2人で暮らせってこと?
「えっと…。あなた方はカミ島っていう日本の離れ小島の住人で、住人はみな神族だと。」
「そうなんです。うちの子の耳と尻尾を見たんでしょう?」
高級ホテルのレストランの個室。
馬鹿高そうなフルコースの後で、向かいの席に腰掛けた和装の二人が俺に頭を下げる。
頭いてぇ。受け入れがたい。
「ちょっと待って!俺、全然知らないんだけど!」
「うちは犬神の家系なのよ。狛犬とか、アヌビスとか。そのあたりかしら。神族だけではなかなか子ができないから外界から伴侶を探すのだけど、人間の血を多く継いだ場合は、島に帰ったとしても普通の人間として生活していく必要があるから、『島の真実』は神としての姿に変化できるようになってから口伝することになっているの。」
「私も大学生時代に玲於奈と出会って、結婚を機に移住したんだ。こちらの世界ではいられないから悩んだんだけど、結果的には妻を選んで…。」
「和文さんごめんなさい。私のために。」
「いいんだよ、ハニー。」
「……つまり、俺は人間じゃなかった?ってことなんだよね。」
「そうよ。私たちは自在に獣の姿にも半獣人の姿にも人の姿になれるけど、しばらくは不安定かもしれないの。だから、猿田彦さんにお願いをしたいのです。」
「お願い?」
「猿田彦くん。このことを知ったからには一蓮托生。初めての獣化に居合わせた人間が伴侶になるのです。どうか、どうかうちの子を幸せにしてあげてください!」
「はぁあ!!?俺がそいつの伴侶!!?」
「聞けば君は獣医の卵らしいですね。逃がしませんよ…。」
「はああああああああ!!!???」
「新居も用意しておいたので!二人仲良くね!!!!」
新しい家の場所と鍵を投げ渡し、二人は去っていった。
あれ?
これから猿田彦と2人で暮らせってこと?
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