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カルテ4:犬の時は可愛げあったのに

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「ドーン!!」

突然大きな音がする。隣の住人が壁を叩いたらしい。

頭を抱えながら、猿田彦は声のトーンを下げた。


「………とにかく。お前、いったい何なんだ。」


「分からない…。」


「まあ、とりあえず大学行くだろ。スマホは俺の貸してやるから、実家に連絡しろよ。行方不明だって心配してんだろ。」

「う、うん…。」



あ。


「服、どうしよう。」

「あああ、だってさあ、まさか犬がお前だなんて思わないから…。仕方ねえ、今日は俺の服貸してやる。」

「ぱんつ…。」

「買い置きのやつやるよ。未開封の新品。」

クローゼットから服とパンツの服を渡される。

本当、もう、申し訳ない。



すぐそばのキッチンから、トーストの焼けた香ばしい香りと、コーヒーの香り。

バターたっぷりのふわふわのオムレツにベーコン。


小さな机を囲んで隣り合って食べる食事。



「今度、俺お前に差し入れするから。お礼に。」

「ああ。」

猿田彦の返事はそっけなくて短い。






尻尾を入れても窮屈じゃないように、グレーのワイドパンツに白のシャツをチョイス。
モスキートーンのブルー系のベストを羽織らせて、頭には帽子。

帽子を被ったままだと叱られることもあるが、目立たないように後ろの席にいれば大丈夫だろう。


そう思って渡した装いはこいつにマッチして、可愛かった。

なんか子どもが背伸びして冒険に行こうとしてる感じ。




美味しそうにご飯をもぐもぐ食べてるの可愛い。



「うまいか?」


「うん。まあまあ。」

ふーん、まあまあね。

その割には耳がぴょこぴょこ、尻尾がふわふわしてますけど。


犬の時は可愛げがあったのに、どうもこいつはツンツンだ。
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