4 / 43
カルテ4:犬の時は可愛げあったのに
しおりを挟む
「ドーン!!」
突然大きな音がする。隣の住人が壁を叩いたらしい。
頭を抱えながら、猿田彦は声のトーンを下げた。
「………とにかく。お前、いったい何なんだ。」
「分からない…。」
「まあ、とりあえず大学行くだろ。スマホは俺の貸してやるから、実家に連絡しろよ。行方不明だって心配してんだろ。」
「う、うん…。」
あ。
「服、どうしよう。」
「あああ、だってさあ、まさか犬がお前だなんて思わないから…。仕方ねえ、今日は俺の服貸してやる。」
「ぱんつ…。」
「買い置きのやつやるよ。未開封の新品。」
クローゼットから服とパンツの服を渡される。
本当、もう、申し訳ない。
すぐそばのキッチンから、トーストの焼けた香ばしい香りと、コーヒーの香り。
バターたっぷりのふわふわのオムレツにベーコン。
小さな机を囲んで隣り合って食べる食事。
「今度、俺お前に差し入れするから。お礼に。」
「ああ。」
猿田彦の返事はそっけなくて短い。
尻尾を入れても窮屈じゃないように、グレーのワイドパンツに白のシャツをチョイス。
モスキートーンのブルー系のベストを羽織らせて、頭には帽子。
帽子を被ったままだと叱られることもあるが、目立たないように後ろの席にいれば大丈夫だろう。
そう思って渡した装いはこいつにマッチして、可愛かった。
なんか子どもが背伸びして冒険に行こうとしてる感じ。
美味しそうにご飯をもぐもぐ食べてるの可愛い。
「うまいか?」
「うん。まあまあ。」
ふーん、まあまあね。
その割には耳がぴょこぴょこ、尻尾がふわふわしてますけど。
犬の時は可愛げがあったのに、どうもこいつはツンツンだ。
突然大きな音がする。隣の住人が壁を叩いたらしい。
頭を抱えながら、猿田彦は声のトーンを下げた。
「………とにかく。お前、いったい何なんだ。」
「分からない…。」
「まあ、とりあえず大学行くだろ。スマホは俺の貸してやるから、実家に連絡しろよ。行方不明だって心配してんだろ。」
「う、うん…。」
あ。
「服、どうしよう。」
「あああ、だってさあ、まさか犬がお前だなんて思わないから…。仕方ねえ、今日は俺の服貸してやる。」
「ぱんつ…。」
「買い置きのやつやるよ。未開封の新品。」
クローゼットから服とパンツの服を渡される。
本当、もう、申し訳ない。
すぐそばのキッチンから、トーストの焼けた香ばしい香りと、コーヒーの香り。
バターたっぷりのふわふわのオムレツにベーコン。
小さな机を囲んで隣り合って食べる食事。
「今度、俺お前に差し入れするから。お礼に。」
「ああ。」
猿田彦の返事はそっけなくて短い。
尻尾を入れても窮屈じゃないように、グレーのワイドパンツに白のシャツをチョイス。
モスキートーンのブルー系のベストを羽織らせて、頭には帽子。
帽子を被ったままだと叱られることもあるが、目立たないように後ろの席にいれば大丈夫だろう。
そう思って渡した装いはこいつにマッチして、可愛かった。
なんか子どもが背伸びして冒険に行こうとしてる感じ。
美味しそうにご飯をもぐもぐ食べてるの可愛い。
「うまいか?」
「うん。まあまあ。」
ふーん、まあまあね。
その割には耳がぴょこぴょこ、尻尾がふわふわしてますけど。
犬の時は可愛げがあったのに、どうもこいつはツンツンだ。
54
お気に入りに追加
538
あなたにおすすめの小説
召喚聖女が十歳だったので、古株の男聖女はまだ陛下の閨に呼ばれるようです
月歌(ツキウタ)
BL
十代半ばで異世界に聖女召喚されたセツ(♂)。聖女として陛下の閨の相手を務めながら、信頼を得て親友の立場を得たセツ。三十代になり寝所に呼ばれることも減ったセツは、自由気ままに異世界ライフを堪能していた。
なのだけれど、陛下は新たに聖女召喚を行ったらしい。もしかして、俺って陛下に捨てられるのかな?
★表紙絵はAIピカソで作成しました。
謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません
柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。
父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。
あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない?
前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。
そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。
「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」
今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。
「おはようミーシャ、今日も元気だね」
あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない?
義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け
9/2以降不定期更新
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
俺は成人してるんだが!?~長命種たちが赤子扱いしてくるが本当に勘弁してほしい~
アイミノ
BL
ブラック企業に務める社畜である鹿野は、ある日突然異世界転移してしまう。転移した先は森のなか、食べる物もなく空腹で途方に暮れているところをエルフの青年に助けられる。
これは長命種ばかりの異世界で、主人公が行く先々「まだ赤子じゃないか!」と言われるのがお決まりになる、少し変わった異世界物語です。
※BLですがR指定のエッチなシーンはありません、ただ主人公が過剰なくらい可愛がられ、尚且つ主人公や他の登場人物にもカップリングが含まれるため、念の為R15としました。
初投稿ですので至らぬ点が多かったら申し訳ないです。
投稿頻度は亀並です。
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
【完結】祝福をもたらす聖獣と彼の愛する宝もの
透
BL
「おまえは私の宝だから」
そう言って前世、まだ幼い少年にお守りの指輪をくれた男がいた。
少年は家庭に恵まれず学校にも馴染めず、男の言葉が唯一の拠り所に。
でもその数年後、少年は母の新しい恋人に殺されてしまう。「宝もの」を守れなかったことを後悔しながら。
前世を思い出したヨアンは魔法名門侯爵家の子でありながら魔法が使えず、「紋なし」と呼ばれ誰からも疎まれていた。
名門家だからこそ劣等感が強かった以前と違い、前世を思い出したヨアンは開き直って周りを黙らせることに。勘当されるなら願ったり。そう思っていたのに告げられた進路は「聖獣の世話役」。
名誉に聞こえて実は入れ替わりの激しい危険な役目、実質の死刑宣告だった。
逃げるつもりだったヨアンは、聖獣の正体が前世で「宝」と言ってくれた男だと知る。
「本日からお世話役を…」
「祝福を拒絶した者が?」
男はヨアンを覚えていない。当然だ、前世とは姿が違うし自分は彼の宝を守れなかった。
失望するのはお門違い。今世こそは彼の役に立とう。
☆神の子である聖獣×聖獣の祝福が受け取れない騎士
☆R18はタイトルに※をつけます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる