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ずっとそばにいたのに

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「エンも邪魔だねえ。やっちゃって。」


スイは無邪気に言う。



「ふははははっ!今までこの国を支えてきたこの私を排除せんとする愚王など要らんわ!多様性など要らぬ!私の言う通りお飾りでいればそれでいいんだ!お前もいなくなってしまえ!」



宰相は、父たちの代のずっと前から代々宰相をしていて、父たちでさえやりづらさを感じていた。
一貴族が極端に権力を持ってしまっていたのだ。

それを父たちは危惧していた。

兄は、幼い時から宰相にからめとられてしまっていた。
だから、俺は一時期隣国に預けられていた。

王室ではなく、外で教育を受けた。





騎士たちが囲む。



―――――万事休すか。


そう思った瞬間、黒づくめの男たちが現れた。




「お前は殿下を!ここは私たちが食い止めるっ!」


「王家の影かっ!」



―――影。お父様が王族に着けていた影。影だけは俺の味方なのか。


「陛下らを救えなかった不甲斐なさ。決して姿を見せぬという制約など、守るべき主の命に比ぶれば、些細な事。我ら一族はエン殿下につく!」


当主らしき男が吠え、俺を守る様に戦いが始まった。



「こちらです!」

若い男の声。

俺にいつもついてくれていた男だ。



「行かせるかッ!」


槍が俺に向かって投げられ、影の男が俺を庇った。


右腕をかすめ、血が流れる。


「かすり傷です。行きますよ!」



心配させる間もなく、俺は彼と城を出た。













まだ外は明るい。

表立って俺を追えないと思う。


追うには、どんな大罪を俺にかぶせることやら。


大方、俺が陛下らを殺したことになるんだろうな。


「いいですか、エン様。俺たちは夫婦です。」


ここは影の拠点の一つだという。

影の男は、城の近くの裏手にある民家に入ると、まず服を脱いだ。



―――――――え。


プラチナブロンド。アクアブルーの瞳。



幼い頃好きになって、どこかへ消えてしまった。




彼が、俺の影だった。

初恋の人は、俺のそばにずっといたのだ。



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