婚約破棄に先手を打った悪役令息は、契約により王太子の側妃という名の奴隷になる

竜鳴躍

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魅了

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店を閉めた後で、マリアナに報告をした。


「あの子は…<魅了>を使って、『魔物の血』を!」


マリアナの顔色が悪い。

倒れそうになるのを、シェルは支えた。



2人は籍を入れることはできない。

それでも、ずっと、こうして夫婦のように寄り添ってきたのだろう。




「ケイン。おそらく、あの子は牢から出てしまうわ。魅了を使って、無理にでも脱出するでしょう。なんでまだ処刑しないの?早く処刑さえしてしまえば…っ!」


「俺にもその事情は分かりませんが、王家の血が入ってるってことで慎重になってるのかも……。」


「だから、早く処刑しろって手紙を書いたのに!」



あの手紙には、そういう内容が…。




「ケイン、私には前世の記憶がある。ミリアナも、ルリアナもね。私は、看護士って、聖女みたいな仕事をしてた。大事な仕事なのに、ちゃらんぽらんで神官、みたいなドクターと手当たり次第に付き合って。私が真面目に仕事をしなかったから、患者さんが死んでしまったの。それが辛くて、酒におぼれていたらマリアナに生まれ変わったってわけ。ミリアナは酷いわよ。自分の子を虐待して殺して、犯罪で捕まって、労役を経て釈放されたら、今度は泥棒をして逃げる最中に死んだ。虐待も、心を病んで、とかじゃない。明確な悪意を持って行って、殺した。ルリアナは、ミリアナに虐待されて死んだ子ども。私、一生懸命やったのよ!でも、無理だった。この世界には3人、こんな人間が現れる。一人目は私、二人目はミリアナ、三人目はミリアナの子。三人目には、快楽殺人犯が来るわ!」

マリアナは、ケインの腕を掴んだ。



「私を信じなくてもいい。世話係や看守を女にしても意味はないわ。早く、処刑をするの!」



もし、あの子が逃げたなら………。





「母さん、落ち着いて。父さんも、ね?」

ルリアナがお茶を淹れてくれた。


「その時は、みんなで姉さんを止めよう。」


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