婚約破棄に先手を打った悪役令息は、契約により王太子の側妃という名の奴隷になる

竜鳴躍

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手に入れたい欲望

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ギア=カイン=トゥルース。

トゥルース王国の第二王子。


明朗快活で立派な王太子のお兄様がいる以上、私は男と結婚するか、一生誰とも結婚できない。

相手の性別はどうであれ、可愛いだろう我が子を抱く権利を得られないというのは悲しい。


だから、私は『男同士でも子どもを妊娠出産できる』ようになるための研究を始めた。

途中で、兄に子が成せぬことが分かり、第二王子でありながら王太子になったが、私の研究は皆が待ち望んでいるはずと思い、辞める選択肢はなかった。

動物実験はうまくいった。



あとは人での検証が必要だ。



だがそのためには、『産んでくれる相手』が必要だ。



そしてそれは、愛する人がいい。






同じクラスのワイルの婚約者であるレイリー=キッシンジャー。

男爵子息とは言うが、母君は『聖女』と名高き方で、元々この国の公爵令嬢だった方。
高位貴族に引けを取らない、洗練された所作、まっすぐ伸びた背や意志の強そうな瞳は美しい。


テストのたびに上位にいるし、私は目で追うようになっていた。


風に揺れる明るい金髪。サファイアブルーの瞳。すらっとした体躯。



次男であるばっかりに『嫁に行く方』にされているが、もったいない。

家を継ぐ才覚も十分にあるだろうに。






ワイルはこんな素晴らしい彼と婚約破棄がしたいらしい。


そうか。


なるほど。




ワイルが要らないのなら、私がもらおう。



そう決意して、根回しをし始めた。
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