5 / 116
手に入れたい欲望
しおりを挟む
ギア=カイン=トゥルース。
トゥルース王国の第二王子。
明朗快活で立派な王太子のお兄様がいる以上、私は男と結婚するか、一生誰とも結婚できない。
相手の性別はどうであれ、可愛いだろう我が子を抱く権利を得られないというのは悲しい。
だから、私は『男同士でも子どもを妊娠出産できる』ようになるための研究を始めた。
途中で、兄に子が成せぬことが分かり、第二王子でありながら王太子になったが、私の研究は皆が待ち望んでいるはずと思い、辞める選択肢はなかった。
動物実験はうまくいった。
あとは人での検証が必要だ。
だがそのためには、『産んでくれる相手』が必要だ。
そしてそれは、愛する人がいい。
同じクラスのワイルの婚約者であるレイリー=キッシンジャー。
男爵子息とは言うが、母君は『聖女』と名高き方で、元々この国の公爵令嬢だった方。
高位貴族に引けを取らない、洗練された所作、まっすぐ伸びた背や意志の強そうな瞳は美しい。
テストのたびに上位にいるし、私は目で追うようになっていた。
風に揺れる明るい金髪。サファイアブルーの瞳。すらっとした体躯。
次男であるばっかりに『嫁に行く方』にされているが、もったいない。
家を継ぐ才覚も十分にあるだろうに。
ワイルはこんな素晴らしい彼と婚約破棄がしたいらしい。
そうか。
なるほど。
ワイルが要らないのなら、私がもらおう。
そう決意して、根回しをし始めた。
トゥルース王国の第二王子。
明朗快活で立派な王太子のお兄様がいる以上、私は男と結婚するか、一生誰とも結婚できない。
相手の性別はどうであれ、可愛いだろう我が子を抱く権利を得られないというのは悲しい。
だから、私は『男同士でも子どもを妊娠出産できる』ようになるための研究を始めた。
途中で、兄に子が成せぬことが分かり、第二王子でありながら王太子になったが、私の研究は皆が待ち望んでいるはずと思い、辞める選択肢はなかった。
動物実験はうまくいった。
あとは人での検証が必要だ。
だがそのためには、『産んでくれる相手』が必要だ。
そしてそれは、愛する人がいい。
同じクラスのワイルの婚約者であるレイリー=キッシンジャー。
男爵子息とは言うが、母君は『聖女』と名高き方で、元々この国の公爵令嬢だった方。
高位貴族に引けを取らない、洗練された所作、まっすぐ伸びた背や意志の強そうな瞳は美しい。
テストのたびに上位にいるし、私は目で追うようになっていた。
風に揺れる明るい金髪。サファイアブルーの瞳。すらっとした体躯。
次男であるばっかりに『嫁に行く方』にされているが、もったいない。
家を継ぐ才覚も十分にあるだろうに。
ワイルはこんな素晴らしい彼と婚約破棄がしたいらしい。
そうか。
なるほど。
ワイルが要らないのなら、私がもらおう。
そう決意して、根回しをし始めた。
32
お気に入りに追加
1,022
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
推しの為なら悪役令息になるのは大歓迎です!
こうらい ゆあ
BL
「モブレッド・アテウーマ、貴様との婚約を破棄する!」王太子の宣言で始まった待ちに待った断罪イベント!悪役令息であるモブレッドはこの日を心待ちにしていた。すべては推しである主人公ユレイユの幸せのため!推しの幸せを願い、日夜フラグを必死に回収していくモブレッド。ところが、予想外の展開が待っていて…?
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話
藍
BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。
ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。

【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。
cyan
BL
留学中に実家が潰れて家族を失くし、婚約者にも捨てられ、どこにも行く宛てがなく彷徨っていた僕を助けてくれたのは隣国の宰相だった。
家が潰れた僕は平民。彼は宰相様、それなのに僕は恐れ多くも彼に恋をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる