笑うとリアルで花が咲き泣くと涙が宝石になる化け物の俺は、おひとり様を満喫しようと思っていたのに何故か溺愛されています。

どうしていいか分からない

きっとリリアンやクロトと違って私の前世の記憶を神が封じていたのには、理由がある。

それがあると、私がリリアンとぎくしゃくしてしまうと分かっていたからだ…。


生まれ直す前に、リリアンを守るとは言ったけど。

まさか『夫婦』になるとまでは思っていなかった。


友人として、影からリリアンを支えるつもりだったんだ。あの時は。

でもまさか、同性とか様々なことをとっぱらって、私が彼に抱いていたものが『愛』だったなんて思ってもいなかった。


前々世でも、結局、リリアンを泣かせた。
前世では、自分が、リリアンを死なせてしまった。

何をやってもダメで、頼りなくて、どうしようもない。

よっぽどクロトの方が年も近いしお似合いだ。


だけど結婚してしまったから…。


私がリリアンに触れる資格なんてあるだろうか。


３年、白い結婚なら婚姻を無効にできる。

今ならリリアンは独身で相手がいなくても、変な輩に言い寄られることはないだろう。
結婚や婚約を盾にして守る必要はない。




クロトは養女を迎えたが、独身だし、若い。
やり手の料理人で、実家はしっかりしている身の上。
クロトなら大金だって稼げる。



「はぁ………。」



こんな情けない男がリリアンの相手でいいはずがない。

確かに運命の番かもしれないが、運命の番に出会わずに一生を終える者の方がほとんどで、運命じゃなくても幸せになっている夫婦はたくさんある。




夕食も目をあわせることが出来ず、そうして夜がきて、自分の寝室へ向かった。