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聖女の願い
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みんな忙しそうだなあ。
この国の人たちは、アレが王様になったせいで悲惨なことに………。
アレがしつこく俺を追ってこの世界に来ちゃったから。
そう考えれば、全ては俺のせいとも言えるのか…。
カカオからのプレゼントは、初めてじゃないけど…。
すごく嬉しい…。
でも、恥ずかしい…っ。
俺のことを守るため、なのは分かるけど。
そうだよね。
まだ初めての発情期も来てないけど(というか薬を飲んでるから既に来てるのかもしれないけど)、俺、オメガだもんね。
前世の知識ではオメガは発情期にエッチされながら首を噛まれると、最初に噛まれた相手と番になっちゃうんだ。
番になっちゃうと、もう他の人に触られるのも嫌になっちゃうんだ。
この世界でもそれは同じだった。
ケイトが完璧な抑制剤を出すまでは、オメガの人は年頃になってフェロモンが活発になる頃には、自衛手段として首を守る防具(アクセサリー的な感じの)を身に着けていたけど、今は、むしろそういうのつけていると、『私はオメガです、襲ってください』みたいな目印になるから、薬でフェロモンを断って偽装ベータとして自衛している人も多い。
俺が今更これをつけるのは、もうアイツにバレたということと、本当に危ないから。
日によって変えられるように色やデザインにバリエーションのあるものをもらった。
カカオの気持ちを感じて、嬉しいな。
俺に出来ることといえば、服を作ることと、アクセサリーのデザインをすること、そして祈ることくらい。
なんとなく、胸の前に手をくんで、両膝をついて、天に向かって祈る。
みんなが幸せになりますように。
アイツの目論見なんか全部失敗して、皆の幸運の分の不幸はあいつにおきますように。
「くそぉお!!どうして税金を2倍にしたのにどの領地もすんなり払ってくるんだ!侯爵家と公爵家のせいにして高い税金かけたのに!やつらへのヘイト集めて苦しめるつもりが!!」
(うわー、こすい…。)
(だって何故か農作物は豊作で、漁業は大量で、アンデルセン王国がいっぱい買い付けてくれたし、生地の産地はビューテ侯爵家が高く買い取ってくれるしな…。…………そもそもあの2家が国に損害与えたから税金あげます、は意味不明だよな…。)
(むしろ王家にヘイト集まってるの気づかないのかな…。)
「クレイバー公爵家はなんで宝石の山がないのに困ってないんだ!ビューテ侯爵家もっ!!!!」
(世界一のドレスメーカーだものなあ…。)
「くそおお!くそおお!これじゃあ、誰も私の言うこときかないっ!私は国王として何も仕事してない!!!」
「仕事………、あ、あの男爵令嬢どうします?陛下の成果ですよ!不審者を地下牢に入れたじゃないですか!」
「オリーブ=シガレット男爵令嬢だっけ。」
「おりーぶぅ!いたな、そんなの!ぉおおおおおおおおおおっ!?」
はっはは、と高笑いしようとして長い外套の裾を踏み、王座の段差で後ろ向きに転倒した。
この国の人たちは、アレが王様になったせいで悲惨なことに………。
アレがしつこく俺を追ってこの世界に来ちゃったから。
そう考えれば、全ては俺のせいとも言えるのか…。
カカオからのプレゼントは、初めてじゃないけど…。
すごく嬉しい…。
でも、恥ずかしい…っ。
俺のことを守るため、なのは分かるけど。
そうだよね。
まだ初めての発情期も来てないけど(というか薬を飲んでるから既に来てるのかもしれないけど)、俺、オメガだもんね。
前世の知識ではオメガは発情期にエッチされながら首を噛まれると、最初に噛まれた相手と番になっちゃうんだ。
番になっちゃうと、もう他の人に触られるのも嫌になっちゃうんだ。
この世界でもそれは同じだった。
ケイトが完璧な抑制剤を出すまでは、オメガの人は年頃になってフェロモンが活発になる頃には、自衛手段として首を守る防具(アクセサリー的な感じの)を身に着けていたけど、今は、むしろそういうのつけていると、『私はオメガです、襲ってください』みたいな目印になるから、薬でフェロモンを断って偽装ベータとして自衛している人も多い。
俺が今更これをつけるのは、もうアイツにバレたということと、本当に危ないから。
日によって変えられるように色やデザインにバリエーションのあるものをもらった。
カカオの気持ちを感じて、嬉しいな。
俺に出来ることといえば、服を作ることと、アクセサリーのデザインをすること、そして祈ることくらい。
なんとなく、胸の前に手をくんで、両膝をついて、天に向かって祈る。
みんなが幸せになりますように。
アイツの目論見なんか全部失敗して、皆の幸運の分の不幸はあいつにおきますように。
「くそぉお!!どうして税金を2倍にしたのにどの領地もすんなり払ってくるんだ!侯爵家と公爵家のせいにして高い税金かけたのに!やつらへのヘイト集めて苦しめるつもりが!!」
(うわー、こすい…。)
(だって何故か農作物は豊作で、漁業は大量で、アンデルセン王国がいっぱい買い付けてくれたし、生地の産地はビューテ侯爵家が高く買い取ってくれるしな…。…………そもそもあの2家が国に損害与えたから税金あげます、は意味不明だよな…。)
(むしろ王家にヘイト集まってるの気づかないのかな…。)
「クレイバー公爵家はなんで宝石の山がないのに困ってないんだ!ビューテ侯爵家もっ!!!!」
(世界一のドレスメーカーだものなあ…。)
「くそおお!くそおお!これじゃあ、誰も私の言うこときかないっ!私は国王として何も仕事してない!!!」
「仕事………、あ、あの男爵令嬢どうします?陛下の成果ですよ!不審者を地下牢に入れたじゃないですか!」
「オリーブ=シガレット男爵令嬢だっけ。」
「おりーぶぅ!いたな、そんなの!ぉおおおおおおおおおおっ!?」
はっはは、と高笑いしようとして長い外套の裾を踏み、王座の段差で後ろ向きに転倒した。
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