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婚約式とお茶会

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「それでは、婚約が成立いたしました。おめでとうございます。」


ストーン=ウェル=グリム殿下はオリーブ=シガレット伯爵令嬢と婚約した。


(……なんだろう、違和感がある。確かにこの前はすごくかわいくみえたのに。和哉の匂いがしたのに…。和哉……だよな?僕が転生したのだから転生しているはずなのに。だって僕はそれを願ったのだから。僕たちは運命だったのだから…。)


ふわっと漂う薔薇の香り。

確かに、和哉の香り…。

気のせい、か??


なんだか今日は緊張しているのか表情が固い。



違和感?

和哉が男じゃなかったから?

いや、和哉ならばどっちでもいいんだ。男でも女でも。




「婚約式も済んだことだし、庭でお茶でもしないかい?」

「まあ素敵。」

小さな手をエスコートしてテーブルにつく。


「君はチョコレートケーキが好きだっただろう?アプリコットジャムが美味しいガトーショコラを用意しているんだ。」

「まぁ…。」

「チョコレート好きじゃなかった?」

おかしいな。和哉はチョコレートが大好きだったんだけどな。


「そういえば、いつもピンクのふりふりだね。ピンクすきなの?」

和哉はレースとかフリルとか可愛いものが好きだったな。

レースの可愛いパンツを引き出しにプレゼントしたのに、恥ずかしがって着てくれなかったけど。


「ピンク……好きです。」

「でも、ピンクばっかりではね。差し色もないと。フリルもフリルばっかりだとフリルのおばけみたいだよ。もう、分かってるくせに。君らしくないなぁ。お母さまの言う通りなのかな??」


(さっきから殿下は何を言っているの?どうして交流が始まったばかりなのに前から知っているみたいに言うの?そのくせおかしなことばっかり!私はチョコレートよりフルーツがたくさんのショートケーキのほうが好きなのに。それにもしかして、私のドレスがみっともないって言われてる…???)



「あぁ、早く君を見せびらかしたいなぁ。君と夜会でダンスを踊りたい。」


ふふ、とほほ笑む笑顔が怖い。



私がオメガじゃないって…。あの香りは弟なんですってバレたらどうなるの…。
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