笑うとリアルで花が咲き泣くと涙が宝石になる化け物の俺は、おひとり様を満喫しようと思っていたのに何故か溺愛されています。

竜鳴躍

文字の大きさ
上 下
11 / 144

神の手

しおりを挟む
「うわぁあ、本当にこれっ、全部俺が使っていいの…?」

「リリアン、『俺』はダメよ?お外ではできているみたいだけれど、直していきましょうね。例え身内や家族の間でも『俺』よりは『僕』がいいわ!」


「ごめんなさい、おばあさま…。」


ビューテ侯爵夫人……じゃなかった、おばあさまとっても優しい。

俺の部屋には、生地を並べる棚や、トルソー、マネキンが並べられ、生地をカッティングするための大きなテーブルも置かれた。素敵!

それから、大きな鏡台に姿見、化粧品道具もワンセット。

「リリアンは表情があまり出ない子なのね。」

「不愛想でごめんなさい……。」

「謝る必要はないわ。貴族は表情に感情を出してはいけないものなの。お家や非公式の場では普通に感情をだしてもいいけど、そんなものよ。だから表情に出にくいのは、貴族として悪いことではないわ。それに、リリアンは表情に出ないけれど、嬉しい時は体がぴょんぴょんしてるし、分かる人がみたらちゃんとわかりますよ。貴方は感情豊かで可愛い孫よ。」

「あっ…ありがとうございますっ。」



「それから…。」


鋏をチョキチョキ握っている俺におばあさまから声がかかった。
動かしやすい。いいはさみ!


「優秀なデザイナーだとしても、あなたは子どもなのだから。これからお勉強もしましょうね?きっと必要な勉強もあると思うから。」


「はい。」

嬉しい。読み書き計算は出来ると思うけど、本の知識だけだと足りない。
俺にも家庭教師がつくんだ。
お茶会もするのかな?
お茶会をするとなると、皆でお揃いのオシャレをするんだよね。
それに侯爵家だと家で夜会とかも開く?

じっとおばあさまを見る。

この世界は結婚妊娠出産が早いから、前世の感覚だとおばあさまだなんて言っているのが申し訳ないくらい若い。
アラフォーくらいじゃないかな。
平民だと生活が大変だから年より老けこんじゃう人が多いけど、貴族は手入れされているから、日本のエステ行ってるマダムと同じくらい、綺麗なんだ。


赤毛に近いニンジン色の髪に緑色の瞳。背筋がしゃんとして、長い髪は綺麗にまとめられている。
目は切れ長で、睫毛は長い。女性にしては長身で、カッコいい感じのクールビューティ―。



はわあ!どうしよう!!創作意欲が!!!!!



「お、おばあさま。お、僕、おばあさまのドレス作ってもいいですか…!」


「まぁ。もちろんですよ。今度、娘のところ公爵家で夜会があるの。ちょうどいいからリリアンも行く?私だけでなく、おじいさまやお父様、あなた、それからケイトさんのお洋服を作ってくれないかしら。針子はグレイシャスが寄こしてくれるだろうから。」

「ケイトも…!?」


「ええ、彼女だって貴族なのだから。貴方の保護者として連れていくわ。もちろん、ブルックリン男爵家やシガレット伯爵家は呼びません。だから安心して?」

やったぁ!



しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない

てんつぶ
BL
 連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。  その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。  弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。  むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。  だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。  人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。 ⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました

婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました

ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。 愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。 ***************** 「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。 ※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。 ※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。  評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。 ※小説家になろう様でも公開中です。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

処理中です...