真面目な近衛騎士は借金返済のために雄っぱぶ嬢になりました。

番外編

でばがめ王子の幸せはどっちだ７

私のやわらか～いほっぺに指が刺さって、むぎゅう。

「シャドー、どうしてここに？」

「私じゃダメですか？『影』としては欠陥品かもしれない。父上からも期待されていない僕ですが、気は合うじゃないですか。僕は、殿下のこと好きですよ。オランジェ妃様に横恋慕して、でも行動に移さないところも。でばがめして鼻血を垂らしているところも。パンツを盗んでしまうけど、ちゃんと返しているところも。失敗も、欠点も。全部好きです。」

「シャドー、趣味が悪いんじゃないか…？だけどシャドー。ブラック伯爵家は…。」

師匠が許してくれるだろうか。

ちらっとシャドーを見る。
指を咥えたあの姿……。

エロさを秘めた（たぶん貞淑）な彼！

胸がずきずきしたんだ！

うん、これは間違いない！

友情から愛情に変わるって話はよく聞くし！



「セイ。ブラック伯爵家は彼一人しかいないのよ？どうするの？」

母上は喜んでいいのか困惑しているみたい。

「私がブラック伯爵家に入ればいいと思います。」

師匠は『影』に固執しすぎだ。
だからシャドーを虐げたのだろう。
だけど、虐げたつもりはなさそうだ。
気付いていないのが問題だ。

だから……！私が中に入って、シャドーを守るんだ！


「伯爵家よ？色々あったけれど、今の貴方なら公爵を授けてもいいって考えていたのよ？」

「構わないです。」

「うーん……。何も王子の仕事をさせないとか、国の中枢から外すなら兎も角、ね……。貴方が相手を選べたのは喜ばしいことだけど、陛下に相談してみましょうか。それとも、貴方の方は何か考えているのかしら？『王子』に求婚しておいて。」


品定めするような視線がシャドーに向けられる。



シャドーは少し置いて、言葉を紡いだ。